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収益不動産の内訳をざっくりと分けると、「土地と建物」となります。
実際の登記や税務上もこの二つは分けて記載されます。
今回は土地の話です。
といっても、一般サラリーマン程度が関われる不動産投資における土地といったら、
そのほとんどは住宅用地です。
他にも事務所・店舗だったり、農地だったり、果ては軍用地だったりと
本来は土地にも多くの用途がありますが、あまり一般的ではありません。
やっぱり住居用がもっとも需要も高く、また税制上も優遇措置があり、
色々条件が緩くてリスクが低いからでしょう。
ニッチな市場に進出した方が独占して稼げるのでは、
と思う人も中にはいるかもしれませんが、
少なくともマンション投資すら成功できない人が手を出すのは
やめた方がいいでしょう。
収益不動産における土地の価格の決め方
収益不動産を購入する時に土地について考えなければいけないのは、
その価格です。
土地の価格といっても実のところ、ここの土地はいくら、と
不動産の取引の場において明確に線引きはされていません。
ですから、ちゃんと評価をしてから購入しないと、
思わぬ高値で買わされる可能性もあります。
購入後に気づいても後の祭り。
土地の価格には公式に、「公示地価」「基準地価」「路線価」があります。
収益不動産の取引で用いられるのは実勢価格であって、
国の決定する価格は取引に本来関係ないのですが、
全ての取引記録が調査、公開されているわけではなく、
むしろ実勢価格が分かることの方が稀です。
ですから、明確に線引きされているこれらの価格を
用いることが一般的、という訳です。
では、地価公示価格、基準地価、路線価の定義をまず知りましょう。
ネットで調べても、どこも難しい書き方しかしていないので
掻い摘んで解説します。
「地価公示価格」
地価公示法に基づき国土交通省が毎年1回決定、公表する、
1月1日時点の土地価格です。
2名以上の不動産鑑定士が独自に鑑定評価を行って
それを調整して決めた価格なので、土地の価格としては
もっとも正確であると言って差し支えありません。
「基準地価」
基本的に地価公示価格と変わりません。
違うのは、7月1日時点の価格である、ということくらいです。
「路線価」
国税庁が管轄している土地の評価価格で、主に課税評価額の決定に用いられます。
路線価には「相続税路線価」及び「固定資産税路線価」の二つがあります。
相続税路線価は地価公示価格の8割を評価額、
固定資産税路線価は地価公示価格の7割を評価額とすると決められています。
収益不動産を取引する際に用いられる基準地価、
上記の説明を読むと公示地価と思ってしまいそうですが、
実際に重要となるのは路線価、特に「相続税路線価」の方です。
なぜ地価公示価格でなく、それよりも安い相続税路線価を
基準とするかというと、融資の関係が主たる理由。
融資を受けて収益不動産を購入するとなると、
当然ですが購入する不動産は担保となります。
金融機関側としてもっともやってはいけないことは、
担保を過剰評価してしまうこと。
過剰評価で融資を行うことは、債務不履行時の損失額が増えるだけでなく、
融資先も高値で購入してしまっているため、投資として失敗の可能性がより高い。
つまり、債務不履行となる可能性も高くなってしまう。
だからこそ、金融機関の担保評価は非常に厳しい。
公示地価をそのまま土地評価額としていることはあまりありません。
つまり、公示地価をそのまま土地評価額と捉えて
金融機関に案件を持っていっても、
担保割れで融資が降りない、なんてことになるだけです。
ただ、不動産の評価法は金融機関ごとに違い、
しかも外部には公表されていません。
そこで考案されたのが、相続税路線価の利用です。
固定資産税路線価では売主側に厳しすぎる、
公示地価では融資が降りない。
じゃあ相続税路線価であればバランスもいいだろう、と。
実際にどういった経緯で相続税路線価が基準として
使われるようになったのかは知りませんが、
こんなところじゃないでしょうか。
絶対的な基準ではないので、相続税路線価を下回る価格であれば
必ず融資が降りるとか、上回る価格だと降りないといったものではありません。
しかし、相続税路線価が収益不動産の取引をするうえで
現在は非常に重要な項目となっていることは確か。
「いや、それはおかしい」と文句を言っても何も始まりませんので、
取り敢えずは土地の評価額には相続税路線価を使うようにしましょう。
相続税路線価基づいた土地評価額の計算方法
相続税路線価の計算方法ですが、極めて簡単です。
路線価というのは、1m2あたりの土地価格のことですから
相続税路線価を調べて土地面積を掛け算するだけ。
相続税路線価は、インターネットで簡単に調べられます。
こちらにサイトで調べるだけ。簡単ですね。
表示法だけちょっと特殊なので解説します。
せっかくなので実際に一つやってみましょう。
楽待にこんな物件がありました。
この物件の土地価格を計算してみましょう。
全国地価マップを開きます。
【次へ】をクリック
何でも良いと思いますが、素直に【不動産関係】にチェックを入れて【同意する】をクリック。
ちなみにブックマークはこのページでいいです。
(この先のページをブックマークしても毎回ここに戻されます。)
住所を入力。〇丁目、まででOK。(入れなくても選択式になります)
番地は地図上に書いてあります。
ちなみに住所入力後の画面は固定資産税路線価になっているので、
真ん中の相続税路線価タブをクリック。
235Dと書いてありますね。Dというのは所有権が借地権の時のみ関わってくるもので、
今はAだろうがBだろうがCだろうが気にしなくて構いません。
相続税路線価は235を1,000倍すればいいので、1m2あたり235,000円です。
実は前述のスペックでは正確な住所が分からないので本当に正確かは分からないのですが、
仮にこの路線価を採用します。
仲介業者に問い合わせすれば、正確な住所を教えてもらえることでしょう。
土地面積98.82m2です。公募面積ですが実測でも大きく変わらないはずですから、
そこまで細かく気にしなくていいでしょう。
235,000円/m2×98.82m2=23,222,700円
この物件の土地評価額は、約2300万円円ということになります。
土地面積は、住所さえ分かっていれば正確な数字を簡単出すことができます。
繰り返して計算して、慣れてしまいましょう。
尚、あくまで相続税課税評価額を土地評価額と近似して考えているだけですから、
どんな場面でも絶対正しい価格、ではありません。
あまり過信しないようにして下さいね。
土地評価額の高い、安いが不動産投資に与える影響
土地評価額が高い物件の方がいいか、安い物件の方がいいかについては、
かなりの議論があります。
土地価格が高いということは、資産性に優れるということ。
建物は年月とともに減価していってしまい、いつかは資産性が0になります。
撤去費用も考えると、建物の状態によってはマイナス評価になりかねない。
土地は価格の上下こそあれ、無くなることはありません。
資産性が高ければ投資としてのリスクは減り、またインフレ時にはむしろ
大きな売却益を期待することもできます。
しかし土地評価額が高い物件は人気が高く、実際の取引価格は公示地価よりも
高くなる傾向があります。融資を受けていては積算評価よりも高い価格では、
資産性の高さというメリットは薄れます。
利回りも低くなり、投資として厳しい結果となるかもしれません。
土地評価額が安い物件は、収益性に優れ、また建物の種類によっては
積算評価も売買価格より高くなることが多いです。
土地評価額が安い場所、つまり地方物件は、土地自体が公示地価よりも
安い価格で取引されることがあるからです。
人気が無い分、売却時には値引きせざるを得ないんですね。
利回りもよくなりますから、数字上はとても優れた収益不動産が多い。
ただし、当然ですが資産性は低くなり、売却時に値が付かない恐れがあります。
賃貸も人口が少なかったり、供給過剰であったりして入居づけに
工夫をしていかないと思ったようには稼げません。
都市部の物件より戦略的に経営をしていく必要があります。
こういった要素もあり、都市部の物件がいいとか地方の物件がいいとか、
一概に言えません。どちらもメリット、デメリットが存在します。
ただ一つだけ言えるのは、経営から出口まで含めた投資をしましょう、という点。
どちらが抜け落ちても投資としては失敗です。
あとはよく勉強したうえで予算と好みに合わせて選択して下さい。
都市部投資と地方投資ではかなり性質が違いますから、お気をつけて。
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