長く付き合う物件。修繕費を掛ける? 安く済ます?

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予防接種、していますか?

人間の歴史は、細菌やウイルスとの戦いです。

黒死病(ペスト)はヨーロッパの人口を2/3にさせました。
天然痘は20世紀のうちに最低5億人の死者を出したと
言われています。

 

日本で有名なのは結核でしょうか。
また、SARSで大騒ぎをしたのは記憶に新しいところ。

インフルエンザも、毎年のように「新型が」
「鳥インフルエンザが」と騒がれています。

最近でも、日本ではマダニから感染する
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)が、
中東の方ではMERS(中東呼吸器症候群)という
新型コロナウイルス感染症が問題となっていますね。

 

ペストは環境の整備や防疫で、天然痘は種痘により
それぞれ予防されました。

天然痘ワクチンは、人類の初勝利と言われています。

日本では子供が生まれると、一部の感染症について
予防接種を受けさせる義務が存在します。

その子を守るという意味もありますが、
それ以上に流行を防ぐための意味合いが強いです。
国を守るための予防接種というわけですね。

 

色々な見方ができますが、お金に絡めて言えば
大きな流行を作る可能性のある感染症については、
たとえ治療法が確立していたとしても
予防をした方が結果的には経済に良い影響があるため、
という理由になります。

治療にお金がかかるだけでなく、
人が多く病に倒れることで労働人口が
激減してしまいますから。

予防とは、かくも大事なものです。

こんなにボロボロになる前に……

効果の実感できない『予防』に感じる価値の差

予防というものは、直接的な効果を全く
感じることができません。

会社で健康診断を受けて異常値を指摘されると、
病院で精密検査、必要なら治療を受けるようにと
指示されます。

でも、多くの人はとりあえず会社の命令のため
受診はしますが、治療となると長続きしません。

今は何も症状はなく、困っていないからです。

 

血圧が高いと動脈硬化が進むよ、脳出血を起こしやすいよ。
コレステロールが高いと云々、糖尿病だと云々。

色々言われますが、いまいちぴんと来ない。
薬を飲んでも何が変わるわけではない。
お金はかかるし、食事や運動など、生活態度に
いちゃもんをつけられるばかり。

予防なんてしなくていいんじゃないの?
病気になったら治療するさ。やーめた。

 

年齢が若ければ若いほど、そういう傾向にあります。

でも、そういう人に限って実際病気になると後悔します。
ちゃんと予防しておけばよかった、と。

 

整形外科をしている僕としては、大事な仕事の一つに
お年寄りの骨折予防があります。

女性の場合は特に、ほぼ100%骨粗鬆症になりますので、
海外では若いうちから骨粗鬆症治療薬を予防的に
服用した方が良いという意見が強いです。

日本はそこまではいきませんが、それでも高齢になると
自分の健康が気になるためか、何も文句を言わずに
しっかりと薬を飲んでくれますし、注射に通ってくれます。

 

人生経験の差が予防という考えに対して
大きく違いを生むのでしょうね。

 

予防にお金を掛けるべきかどうか?

不動産投資においても、予防は重要です。

例えば建物について。
建物は人間と同じで確実に老朽化します。

古くなればトラブルはつきもので、ひび割れしたり
雨漏りを起こしたり、配管トラブルがあったり。

修繕をせずに放置すると建物の寿命は
確実に短くなり、評価額は落ち、最終的には
撤去をするしかなくなるでしょう。

 

一方、修繕を細かくしっかりと行うことで、
その物件は長くお金を生みだし続けます。

修繕費はもちろん高くつきますが。

 

ちゃんと予防的に修繕を繰り返した建物と
問題を放置したまま建物を使い潰すのは
経済的には最終的にどちらがいいのか?

これは非常に敏感な問題です。

 

実は使い潰す方が余分なお金がかからず、
最終的な利益は増えるかもしれない。
ダメになったら売るか、潰して新築を建てればいい。

そういう考え方ももちろんアリです。
建物はいつかダメになるもの。
資金に余裕があるならば、建物を新しくすることで
修繕費の節約になり、利回りも高くなる。

 

ただ、個人投資家レベルではそんなにお金、
ありませんよね。

であれば、きちんとした修繕工事を行い、
建物を大事に使う方がいい場合が多いのは明らかです。

 

ベテランの声を良く聞くことが無難か

でも、不動産投資家としての経験が浅いと、
どうしても修繕が疎かになりがちです。

予防に効果を感じませんから。

 

お金ばかりかかってちっとも儲からない。
修繕はギリギリまで待ってからでいいんじゃないか。

健康診断に引っかかった若手サラリーマンのような
意見になってしまいます。

 

一方、ベテランほど丁寧に建物を扱っています。

きっとこれまでに苦い経験を積んできたのでしょう。
経験の差が、予防に見出す「価値」の差に繋がります。

 

建物の修繕の重要性は、多くのベテランが
声高に警告してくれています。

最終的には建物を大事に扱った方が安く済む。
大きなダメージを負ってからでは遅い。
修繕費はちゃんと積み立てておきなさい。

 

せっかく、その貴重な経験を私たちのような初心者が
同じ轍を踏まないようにと、教えてくれているんです。

我々医師が、薬を出したり口を酸っぱくして
生活内容に口を出すのも、過去の経験や研究から
予防が重要であることを知っているからです。

 

確かに、不動産の修繕、特にRCマンションなどは
修繕に恐ろしくお金がかかります。

日常生活では絶対にお目にかからないような支出が
出ることだってあります。

それでも、具合を悪くしてしまってから何とかするより、
ずっと安く済むし、お金も増えるんです。

 

建物を大事にしていきましょう。

5年、10年と付き合っていくことになる、
大事なパートナーです。

無駄にコストを掛けすぎてもいけませんが、
まだ長く付き合う必要がある物件であれば
少しくらい手を掛けてあげてもいいんじゃないでしょうか?

 

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