不動産投資は給与所得が多いほど恩恵が高い? 実際に比較計算してみる

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不動産投資で認められる経費による節税効果は、

収入が大きければ大きいほど高くなります。

所得税の累進課税制度がその原因です。

 

給与所得が異なる二人を比較してみる

 

給与の課税所得が400万円のAさんと、2000万円のBさんを比較します。

所得税の税率は、平成24年11月現在、最高で40%です。

 

 

以前の記事で所得税率について表にしてあるので、参照してください。

 

 

Aさんの場合、課税所得400万円だと、

所得税率20%に427,500円の税額控除がありますので、

372,500円の所得税がかかります。

 

Bさんの場合、課税所得が2000万円だと、

所得税率40%に2,796,000円の税額控除がありますので、

5,204,000円の所得税がかかります。

 

 

実際はこれに住民税10%が更にかかりますので、

 

Aさんの場合、課税所得が400万円ですから、

住民税が40万円追加されて、772,500円の税金が掛かります。

税引後の手残りは3,227,500円(+給与所得控除)ですね。

 

 

Bさんの場合、課税所得が2000万円ですから

住民税が200万円追加されて、7,204,000円の税金が掛かります。

税引後の手残りは12,796,000円(+給与所得控除)です。

 

 

ここでちょっと補足しておきます。

 

実際には、所得税と住民税では税額控除に差があるので

正確にはこの計算は間違っています。

復興増税なども考えていません。

 

あくまでシンプルに不動産投資の節税効果を

理解して頂くためにわざと無視しています。

ご理解お願いします。

 

不動産投資の収入を加えると・・・給与が低い人の方が得をする?

 

不動産投資が成功すると、

当然ですが家賃収入分所得が増えることになります。

 

 

ここで考慮が必要なのが、累進課税制度です。

もう一度累進課税表を見直してみましょう。

 

 

家賃収入は不動産所得でも事業所得でも、

給与所得と合算して課税所得が決まります。

 

つまり、家賃収入分だけ課税所得が増えると、

所得税率が上がる可能性があるんですね。

 

 

具体的に数字を出して計算してみましょう。

まず、減価償却が既に終わっている例を考えます。

 

 

課税所得400万円の人が、12月31日時点、

不動産投資で600万円の黒字を出したとします。

 

 

この黒字は、経費を全て差っ引いた分、

つまり純粋な手残りと融資の元本返済分の合計額とします。

この600万円は課税所得です。

 

 

Aさんの課税所得は1000万円になりますね。

すると、所得税は33%に1,536,000円の控除がついて

税金は1,764,000円です。これに住民税10%、100万円が追加され、

支払う税金は2,764,000円です。

 

 

元本返済が年200万円とすると、純粋な手残りは400万円、

給与課税所得は400万円ですから、手元には合計800万円あり、

そこから2,764,000円を引くと5,236,000円が税引後残ります。

投資しなかったら3,227,500円だったのが、5,236,000円になりました。

2,008,500円の増収です。

 

 

給与所得が多いBさんが不動産投資で同様の成果を

上げたとしましょう。

 

 

課税所得2000万円の人が、12月31日時点、

不動産投資で600万円の黒字を出したとします。

この黒字は、経費を全て差っ引いた分、

つまり純粋な手残りと融資の元本返済分の合計額です。

この600万円は課税所得です。

 

 

Bさんの課税所得は計2600万円になりますね。

所得税は40%に2,796,000円の税額控除が付いて、

7,604,000円が所得税額になります。これに住民税10%、

260万円が追加され、支払う税金は10,204,000円です。

 

 

元本返済が年200万円とすると、家賃収入の純粋な手残りは400万円、

給与課税所得は2000万円ですから、手元には合計2400万円あり、

そこから10,204,000円を引くと13,796,000円が税引後残ります。

投資しなかったら12,796,000円だったのが、13,796,000円になりました。

1,000,000円の増収です。

 

同じ家賃収入を得ているのに、Aさんのほうが1,008,500円ほど

多く稼げました。

 

 

Aさんのほうが得をしているように見えますね。

所得税の累進課税制度は、弱者に優しいのです。

 

 

・・・と、本当にお思いでしょうか。

 

よりリアルに、経費を計上してみると・・・

 

実際にはここに経費として減価償却がありますので、今度は考慮してみます。

減価償却費を1000万円としましょう。

 

 

減価償却が1000万円あれば、Aさんは課税所得が0になりますので、

税金がかかりません。2,764,000円手取りが増えたことになります。

手元には800万円残りました。

投資をしなかった時と比べ、4,772,500円の増収です。

 

 

対してBさんは、課税所得1600万円になります。

所得税率が33%に1,536,000円の税額控除で、税額は3,744,000円です。

住民税10%、160万円を加えると支払う税金は5,344,000円となり、

486万円手取りが増えたことになります。

手元には18,656,000円残りました。

投資をしなかったときと比べ、5,860,000円の増収です。

 

 

増収額が逆転してしまいました。

経費による所得圧縮効果は、所得が大きいほど効果が高いからです。

 

 

同じ条件の不動産を購入し、同じように家賃収入を得ているはずなのに、

給与所得に差があるだけで、経費の計上の仕方一つで

不動産投資によって最終的に残る額が100万円以上も違います。

不動産投資は、累進課税制度を逆進的にしてしまうんです。

 

 

給与所得控除が、この逆進性を更に広げます。

給与所得控除はあくまで給与所得にかかっているもので、

不動産所得に関係なく給与所得が大きい方が控除額が増えるためです。

 

Aさん、Bさんともに課題あり

 

Aさんがより投資効率を上げるため、経費の恩恵を高めるためには

どうにか収入をもっと増やす必要があるんですね。

投資効率を上げないと、投資のリスクは高いままです。

 

 

ではBさんが安泰かといえば、そうでもありません。

減価償却が終わってしまったり、収入が更に増えていくと

税金が重くなりすぎて、収益に対して利益が全然でなくなってきます。

 

 

不動産投資は税金との戦いであると言う人もいますが、

まさにそんな感じです。

 

 

この状況を打開するのは、最終的に法人設立以外ありません。

法人化こそが、税金に対する最終兵器です。

 

法人については、また今後時間をかけて解説していきます。

 

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    • ともひで
    • 2014年 4月11日

    減価償却1000万円は、極端すぎませんか?
    もう少し現実的な値で計算しないと意味ありません。

    このシミュレーションは、新築ワンルームだと納得です。

      • きりのき
      • 2014年 4月15日

      ともひで さん

      わざわざこのような古い記事にまでコメントありがとうございます。
      この時の僕は、計算しやすく実感しやすい数値を採用をしたのだと
      思いますよ。

      このようなこともある、とのシミュレーションのため、
      個人の給与や物件の収入その他はそれぞれで異なりますから
      後は各々がご自身のケースに当てはめて頂ければと思います。

      なにぶん、素人による素人のための個人的なブログですので、
      宜しくご理解頂けますと幸いです。

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