不動産投資の税と法人化【1】

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今後5年間の収支予測を税理士さんに作って頂いたのですが、やはり個人の
所得税の急カーブは非常に厳しいものがありますね。

ある点までは課税所得が増えても納税額はそこまで増えないのですが、
そこを超えると納税額は一気に増えていきます。

融資返済があるものとしては、これは厳しい。

 

まだ不動産投資をこれから始める、もしくは1棟目を取得したばかりの方は
あまり実感が湧かないであろう税金との戦い。今回は不動産投資と納税に
ついて書いていこうと思います。


納税には頭を悩ませられます。

不動産投資に大きく影響するのはもちろん所得税

日本の税制については、不動産投資に興味を持たれているあなたであれば
大まかにはご存知のことと思います。

が、知識に齟齬があると間違った思考をしてしまいますし、結構コロコロ
変化をしていくのが税制ですので、復習も兼ねて簡単にまとめます。

 

固定資産税や登録免許税、不動産取得税などは資産の大きさに応じて納税額が
決まるものですから、多少の調整は効いても大きく節税できたりするものでは
ありません。

ですので、ここではバッサリと省きます。

中心の議題は収入に対して発生する税金。具体的には所得税、住民税、事業税。

 

住民税と個人事業税は税率が固定されています。

住民税は約10%、個人事業税は不動産貸付業の場合5%です。
事業的規模でなく事業所得290万円未満の場合、事業税は掛かりません。

 

つまり経費をやりくりして事業所得額を少なくすれば節税になりますが、
個人的には事業税の無理な節税は反対です。

そのために無駄遣いをしていてはちっとも手元にお金が残りませんし、
不動産経営者としての信用度も高くなりません。

するといつまで経っても投資規模を拡大することができず、建物の老朽化と
共に経営は苦しい状態に追い詰められていくことでしょう。

事業税は日本で稼がせて頂いた対価として、無理のない範囲での節税に
留めるように心掛けましょう。

 

というのも、事業税なんて納税全体からみればオマケのようなものなんです。
事業税を納めることは、事業がうまく回っていることの証拠。

節税をし尽くしてなおも利益が出て初めて事業税の納税となります。
ちなみに僕はまだ納めたことがありません。

大事なのはその前段階、所得税との戦いにあります。

 

所得税に存在する急カーブ

所得税は累進課税制度、要するに課税所得が多ければ多いほど税率が上がる
システムとなっています。

税率については以下の国税庁ウェブサイトをご参照下さい。

国税庁:所得税の税率

 

高所得者に厳しい所得税。かつては最高税率が今より遥かに高かったの
ですから大分ましになったというもの。中間層には厳しいですが、夢が
持てるようになった点で評価できます。

ある程度は富の再配分をしなければ経済が回らず不景気となり、結局は
自分へと還ってきてしまうのですから仕方ありません。

個人的な意見を述べればせっかく消費税を上げるならついでに個人所得税の
最高税率を以前並に引き上げ、代わりに事業経費の計上可能な範囲を大きく
拡大させることで皆が幸せになれるのではないかと思いますが。

それでもどこかで穴を見つけ、脱法的に蓄財する人々が現れるでしょうから
妄想はこの辺りにしておいた方がよさそうですね。

 

話が逸れました。

個人の所得に課税される税率は、歴史的に見て現在は決して高い方では
ありません。ありませんが、こと不動産投資においては非常に大きな負担
となっていると言わざるを得ません。

多額の融資返済の存在が原因です。ここでも何度か書いていることですが、
ご承知の通り元本返済分の所得が手元に残らない所得のため。

 

給与所得などが元々多い方が金利分がもったいない、早く融資をゼロに
したいと元本返済を大きくし過ぎると、大変な目に遭います。

所得税の累進課税制度と高額の元本返済の組み合わせは最悪です。
元本返済を多くすると手元には資金が残りませんが、課税所得には
算入されますので所得税率は高いまま。

課税所得が900万円を超えると所得税額は急上昇します。

 

給与所得の場合、給与所得控除がありますので収入が上昇しても納税額の
カーブはある程度まで緩やかに抑えられますが、事業所得の場合はそうは
いかず。

稼いだ分だけ税率が上がり、納税額は急上昇してしまう。給与所得の多い
サラリーマンがRCマンションを購入したりすると、現在の最高税率である
40%、課税所得1800万円程度は簡単に突破してしまいます。

2015年度からは最高税率ではなくなりますが、税額が少なくなるわけでは
ありません。むしろ給与所得控除が減額されていく分だけ所得税の税額は
増えてしまう。

融資を返済しながら、残されたお金から住民税と合わせると50%、事業税が
掛かるようならそれ以上を納めなければいけない。

 

減価償却が減る、税務調査の結果経費が一部否認されるなどで課税所得が
1800万円から2200万円に増えるだけで納税額は200万円増、600万円強から
800万円強まで増えてしまいます。

手元に残るお金には変化がないか、むしろ減っていくのに、です。

納税額が増えた分をどこから捻出するか。不動産投資で稼いでいくつもり
ならば必ず事前に検討をしておかなければいけません。

 

収益不動産の法人所有は何故得なのか

個人のままで不動産投資を進めるならば、この話を突き詰めると減価償却と
元本返済、そして金利払いのバランスに辿り着きます。

給与所得も関わってくる話ですから、個々に合わせた適切な会計処理をして
いく必要がある。

自分でやるには無知ではいられません。必死に勉強するか、専門の税理士に
顧問としてついてもらうかのどちらかです。

 

さてこの話。収益不動産が法人所有となると随分と様子が変わってきます。

個人と法人を比較してみると、なぜ法人化をした方がいいと言われるかが
よく分かってくる。

 

次回に続きます。

 

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    私も不動産所有法人設立を考えているところです。
    勢いで法人の印鑑も作りました。

    自己所有の区分マンションを法人に売却するつもりですが、
    法人の所得と個人の所得をうまく分散できる分岐点が
    なかなか見つからなくてシミュレーションの日々が続いています。

    車の維持費を法人に負担させるのが、私の場合は現実解のようです。

      • きりのき
      • 2014年 7月8日

      コメントありがとうございます。

      そうですね、損益分岐が微妙なラインだと大変ですね。
      僕は細かい計算は面倒になってしまうタイプなので、
      明確に法人が良い線を一気に飛び越えて考えます。

      小さいところで結構な無駄が出ているのでしょうが、
      その方が気が楽で自分に向いています。

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2014年4月不動産投資を始める際に最も重要なリスクヘッジの仕方。

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