日欧EPAの大筋合意から考える競争力の重要性

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日欧EPA交渉が大筋で合意をしたとのこと。

自由貿易というのはそんなに大切なものなのだろうかと個人的には
疑問を持たざるを得ないのですが、消費者にとってありがたい話で
あるのは確かです。

関税が低くなったり撤廃されれば輸入品が安くなりますし、国内産
のものも競争力の維持のために価格を抑えざるを得なくなります。

つまりは国内産業に打撃を与える可能性があるという話。TPPも、
散々振り回された挙句アメリカが破棄してきました。そこには国内
産業を保護しようとの意志が明確です。

 

日欧EPA交渉で焦点となっているのはチーズとワイン。特にチーズ
は国内の酪農家に多大なる影響を与える可能性が高く、戦々恐々と
しているようです。

正直なところ、僕は国産チーズのほとんどに不満を感じております
ので、日欧EPA交渉を機に是非とも品質の向上及びプロセスチーズ
からの脱却を期待したいところ。

日本の環境を生かしたナチュラルチーズの品質が向上し、ある程度
の価格に抑えられれば、少なくとも僕は国産品を優先し購入します。

実際、よく売れると思うのですよね。

 

最終的に日欧EPA交渉がどのようになるかは分かりませんが、多少
の譲歩が発生してしまうのは確実な情勢で。

酪農家とチーズ加工業が力を合わせてこの危機を乗り越えて欲しい
ものです。

もっとも、巨大産業ですから様々な利権や怖い話があり、無関係の
人間が口を出せるような状況にはないのだと推測され、EPA交渉の
結果によっては大変な事態になるのかもしれませんが……。

 

国家としても、関税自主権を放棄するような自由貿易構想には疑問
が出ていますから、揉め過ぎないところで妥協して欲しいですね、
お互いに。

現在行われている自由貿易政策論争は、ブロック経済構想を舞台に
した経済紛争のようなもので、激しくなると安全保障にも悪影響が
あるのは間違いないでしょうから。

ビジネスの世界で生きるには競争を勝ち抜くしかありません。

価格競争ばかりにならぬのを期待

消費者視点で見ると、こうした価格競争の場が生まれるのは非常に
ありがたい話です。

競争が無ければ発展はしません。価格面でも品質面でも、進化には
競争が必要です。競い合う土壌があるからこそ文化は発展するもの。

より安く、良いモノが手に入るのは、誰にとっても喜ばしい話。

 

ただし、価格競争ばかりになってしまうリスクを内包します。

日本がデフレの沼に足を取られ未だに脱出できていないのを知らぬ
人はいないでしょう。体験してきたデフレ期を振り返ってみれば、
価格は異常に安くなり品質は低下する一方ではなかったでしょうか。

牛丼やハンバーガーなど、ファーストフードはその典型例でした。
80円で実売されているハンバーガーがどのような原料でできていた
のかは、数年前の腐肉事件を思うと想像するのも恐ろしい話。

僕も一時期はよく牛丼を食べていましたが、徐々に落ちる味に嫌気
が差して全く足が伸びなくなりました。

EPA交渉により、国内産業の対抗策が価格競争だけにならないのを
祈るばかりです。

 

しかし競争が無ければ進化など必要なく、むしろ短期的には無駄な
支出を計上するだけで利益面ではマイナス。

私たちには確たる寿命があります。経営者といえども、どうしても
寿命の中で、現役の中で可能な限り良い成績を残せばよいのだ、と
考えてしまうのはごく自然で。

無利益な努力をしなくていいのであればしなくなるのも至極当然。
消費者が利を得るためには適度な競争環境があるのが望ましいのは
火を見るよりも明らか。

 

政府は関税自主権を以ってして「競争を適度に」調節するのが仕事
ですので、TPPでもEPAでも政府が尽力を尽くすのは、国家の経済
を安定させるために当たり前の話。

国会議員、及び各省庁の大臣は国民の代表として交渉の場に臨んで
いるのですから、何としてでも好条件を引っ張ってくる義務がある。

そういった目線で考えると、アメリカが自ら破棄するほどに日本に
有利な決着とした甘利氏を中心とした一団は、極めて優秀であった
のは間違いないのでしょう。

 

今後もそういった優秀で、且つ本気で日本を憂う政治家や官僚方が
増えて欲しいものです。それだけの地位にいるのですから。

私たちも、選挙のたびにしっかりと政治を見つめ責任を持って一票
を投じるようにしなければいけなさそうです。

 

如何に競争力を身に着けるか

ただ、事業者側としては強制的に競争の場に引きずり出されるのは
非常に怖いですね。

偏りはいつか是正されるものですが、人間が是正をする限りはいつ
どのような形で修正されるかは全く不明。

いついかなるタイミングで梯子外しが行われても対処ができるよう、
常日頃から非難準備をしておかなければいけません。

 

つまりは結局のところ、無利益でも進化、発展をしようとする努力
ができる企業が生き残り、そうでないところは何かの拍子にあっと
いう間に没落する恐れがある、ということ。

個人レベルの経営者でも、先を見越した経営ができなければ世間に
喰われてしまう。

不動産賃貸事業など、いつ環境変化が起こるか分かりません。不測
の事態に如何に備えるかが重要です。

 

できれば外されたくない梯子ですが、大切なのは今の資金より将来
のリスク削減。

融資を多く抱えざるを得ない、非資産家の不動産投資家は、この先
より意識を高く持って不動産投資と向き合う必要があるだろう、と
感じます。

きっとまた近いうちに、不動産投資に関連した規制が検討されるに
違いありませんから。

 

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