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前回の続き、不動産投資と納税についてです。
不動産所得は総合課税です。個人所有の収益不動産から得られた所得は
給与所得と合算し、所得税及び住民税の税率・税額が決まります。
(住民税の税率は一定)
融資を受けていると元本返済も所得に含まれるため、課税所得に比べて
手元に残るお金が少なくなります。課税所得が多くなると累進課税制度
により所得税率が上がり、納税額は急上昇。
手元に残るお金に比較して税額が高くなり、納税に困る羽目になるので
購入前からの計画的な経営をしなければいけない。
そんな話でした。
あくまでこれは完全個人で不動産投資をした場合、です。
前回の文末で書いたように、法人を利用することで様相は一変します。
法人税実効税率?
最近、ニュースなどで「法人税の実効税率」という単語が飛び交っています。
現政府が日本への直接投資を増やすために企業の税負担を低くする方向で
議論をしているためです。
財政再建のためといって個人の税負担は増え続ける一方の中での話であり、
庶民増税・企業減税と一部で批判もされていますが、個人的には方向性は
正しいと考えます。
企業の業績が上がらなければ、結局はそこに勤める個人の雇用も給与も
守られることはないのですから。減税という名の飴を与える分、何かしら
鞭も用意しなければいけませんが。
法人税の実効税率について正確に理解をしている方は、意外と少ないのでは
ないでしょうか。
個人の税制は自分に関わることですので不動産投資をしようと考えることの
できる方はしっかりと理解していることと思います。
が、法人についてとなると収入が多くなり過ぎるようなら法人化することで
節税になるらしい、程度の認識の方がほとんどなのではないかな、と。
まあ、僕が無知だっただけなのかもしれませんが。
ということで、不動産投資において法人に掛かる税についてまとめます。
法人の税と個人の税は本質的には変わらない
法人税法人税と言いますが、法人所得にかかる税金は法人税だけではありません。
個人では所得税、住民税、事業税の3つがありますよね。それと同じように
法人にも3つ、法人税、法人住民税、法人事業税があります。
これら3つ合わせた法人の実質的な税負担率が「法定実効税率」です。
法人税の実効税率と報道されているものですね。
法定実効税率の計算方法などについて詳しく知りたい方はこちらのサイトが
スッキリと詳しく書かれていましたのでご参照下さい。
この法定実効税率は法人が事業で得た最終的な利益に対して掛かります。
個人と異なり、業種に関係なく一律です。累進性も個人ほどはありません。
(利益400万円、800万円の2箇所で法人税率が階段状にはなっていますが)
関係してくるのは資本金額のみ。大企業か中小企業かで税率に差をつけて
いる以外には税率に違いはありません。
その差の元となっている資本金額の境目は、1億円。
サラリーマンの副業程度の不動産貸付業で得られる売り上げは中小の中でも
明らかに小の部類であり、とてもではありませんがそんな高額な資本金を
入れられるような事業ではなく。
ほとんどの場合は中小企業側の扱いとなるでしょう。
税率としては中小企業の方が低く設定されています。
現時点では、利益が800万円までであれば実効税率20%台前半。
そこを超えると38%程度と高くはなってしまいますね。
ですが、個人所得の場合年収が900万円を超えた分は所得税と住民税だけで
税率は43%です。うち、不動産所得が290万円以上の分は更に5%追加される。
これだけでいかに法人が優遇されているか分かります。
実効税率が20%強であれば、元本返済分にかかる税金も随分少なくなる。
経営が大きく楽になることは、間違いない。
法人のメリットは大きい
また法人の方が個人よりも節税手段が豊富です。よく言われる生命保険の
損金算入だとか、個人では経費として認められないものを経費かできる等、
利益を抑える方法に事欠きません。
それでも利益が多くなり過ぎるなら、購入時に別法人を立ち上げてしまえば
いいだけ。利益が800万円以内に収まるよう不動産所有法人を複数持つだけで
税率は大きく圧縮されます。
手間は増えますし、評価は煩雑になってしまいますが。
僕が最近実感したメリットは、法人の欠損金の繰越控除。
あくまで収支計画の中でのことではありますが、手持ち物件を法人に持ち替え
をした際、その初期費用に莫大な金額が掛かります。が、それを最大7年間も
繰り越せるので向こう5,6年は法人税がほとんど掛からない計算です。
納税額は法人住民税均等割の7万円のみ。
欠損金の埋め合わせが終わるまで、不動産投資で利益が出ても一切税金が
掛かりません。多少初期費用が必要でも、個人所有のままとの納税額差に
より数年程度で初期費用分を回収できる見込みです。
欠損金の繰越控除が終わっても法人所有の方が納税額はずっと少なく、
法人化をする価値は十分あるとの結論でした。
世帯課税制度などの話もありますが、いつのことになるかも、本当に実現
するのかも分からないことに身を任せるわけにはいきません。
納税はシミュレーションが命です。不動産投資は業績を予測しやすい事業
なのですから、面倒くさがっていてはいけない。
まだ個人でいいのか、法人所有とすべきなのか。それとも不動産管理法人で
やりくりするのがベストなのか。税制を学び、正確で精密なシミュレーション
をし尽くしましょう。
節税は、最初が肝心です。
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はじめまして。
いつも拝見させていただき、勉強させていただいております。。
私も法人設立に興味があり、色々なサイトを見ているのですが、きりのきさんオススメの法人設立の手続き等を勉強するのに適したオススメの書籍はありますでしょうか?
くろぐろ さん
コメントありがとうございます。
法人の設立に関しては僕もネットで情報収集し、書籍を書店で見た程度で手続きについては
完全に司法書士さんにお願いしてしまっている立場です。いくつか手に取った書籍も、
いまひとつ分かりやすくまとまっておらず、穴ができるくらいであればコストを掛けて
しまった方がよいという判断です。
法律が関わってくるものですので、プロに任せるのがリスクが低いかなと。
ですので、申し訳ありません。
きりのきさん
お忙しいところ早速のお返事ありがとうございます。
日々勉強ですね。
「いくつか手に取った書籍も、いまひとつ分かりやすくまとまっておらず、…」
↑そのとおりですね。なかなか「これは!」というのに出逢えません。。
地道に情報収集して頑張ってみます。
これからもよろしくお願いいたします!