常に満室経営の不動産はあり得ない。入退去によるコストを想定すること。

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収益不動産を購入する際にやってしまいがちな過ちとしてよくあるのが、
事前の収支計算を満室であるのを前提にしてしまうこと。

これ、非常に危険です。満室にしようと努力をするのは当然の前提条件
ではありますが、実際に満室稼働を常時続けられるかというと、そんな
はずもなく。

購入後に毎月の収支を見て、実際の稼働率から予測されるよりも随分と
キャッシュフローが少ない事実に気がつきます。

理想と現実にはギャップがあるものなんですね。

 

ではそのギャップを生み出す犯人はというと、答えは簡単。

入退去に伴うコストの存在が、収益不動産のキャッシュフローを薄めて
しまい、手残りを大幅に減らしてしまうんです。

実際に収益不動産の運用をした経験があるのでしたら、十分身に染みて
いるかと思います。

目立つ部分は、広告費の存在。広告費はオーナーにとってマイナスしか
ない存在ですが、物件を紹介してもらえなければ家賃は手に入らないの
ですから必要不可欠のコスト。

例えばこの広告費がAD2ヶ月、要するに家賃の2ヶ月分だとすると、その
部屋が生むはずのキャッシュフローのうち16%以上を占めるのですから、
利益は実感できるレベルで減って当たり前。

空室期間が2ヶ月あったら33%減。10室のマンションの場合、1室2ヶ月
の空室だけで3.3%もキャッシュフローが減ってしまう。

 

しかもこの減少幅はキャッシュフローの3.3%ではなく、満室想定家賃の
3.3%。年間の満室想定家賃収入が500万円だとすると16万5千円。

維持費が20%、年間の融資返済額が200万円だと、キャッシュフローは
年間200万円(かなり余裕を持たせたプランです)。

200万円キャッシュフローを想定していてそれが16.5万円減ったとすると
相当に大きいですよね。

 

わずか1室が2ヶ月空いただけで、これほどにキャッシュフローが減って
しまう。

もし自己資金注入が少なすぎたり、金利が高かったり、または返済期間
が短すぎて毎月、毎年の融資返済負担がこれよりも重いなら、入退去に
よるCF損失幅は更に拡大します。

しかも入退去に伴うコストはこれだけではありません。部屋の清掃費や、
時に修繕費も必要になる。

 

理想と現実の間には、これ程に大きな落差があるのを十二分に理解した
うえで収益不動産を購入するべきであるのは言うまでもありません。

古い建物を修繕するには高い費用が掛かりますが……。

修繕は資産価値向上に繋がる

ただし入退去に伴ったキャッシュフローの減少を過大評価し過ぎるのも
間違いの元。無駄に焦って判断を間違う原因です。

中古収益不動産を購入した直後の退去の場合は、多くの場合修繕費用が
多めに必要です。オーナーチェンジ前から長く入居されていた方が退去
されれば、部屋はそれなりに古く、交換する部分も多くなる。

古い部屋の修繕に投じた資金は資産でもあります。会計上も場合に応じ
資産計上してもいいほど。広告費と異なり、純粋な資金流出ではない。

 

中古物件購入初期の修繕費の金額に臆して収益不動産が買えなかったり、
安かろう悪かろうの修繕を施してしまったりは、悔いの残る結果となる
かもしれません。

本来、購入後の修繕費用に関しては購入時の予算に組み込んでおくべき
部分ですので、そこはうまく指値交渉をして勝ち取れた物件を買うのが
良いと思いますし。

そこで修繕費分の予算を勝ち取ったのであれば、ケチらずにしっかりと
お金を掛けて資産価値を高めておきましょう。

 

不動産投資においては経費には3つの種類があるのを常に意識しておけば
誤った認識を持つ事も、余計な不安を持つ事もなくなります。

その経費とは、資産として残る経費、手元には何も残らない経費、及び
生活費を浮かせられる経費の3種類。

これらを現実に照らし合わせておけば、理想と現実の乖離を縮小できる
はずです。

 

定期コスト削減と規模拡大で対応

後は、キャッシュフローにおける入退去に伴う経費はどうしたら影響を
小さくできるのか、です。

これは二つの方法が考えられます。

 

一つは維持費や利払いなど、定期的なコストを抑えるのが効果的。経費
を削減してキャッシュフローを増やせば入退去によって発生する損失の
割合を引き下げられます。

業績アップには経費削減が効果的であるのはいつの時代も共通していて。

しかし削減をしすぎて経営に悪影響が出ないようにだけは要注意ですね。

 

もう一つはスケールメリットを活かすこと。

前述の例では10戸の設定でしたが、これが20戸であれば1戸あたりの比率
は半分になります。

その分だけ入退去も多くはなりますが、戸数が多ければ多いほどリスク
を吸収できるのは間違いない話。

スケールメリットの重要性についてはこれまでも何度も繰り返して記述
してきました。リスク回避にも収入増加にも役に立つスケールメリット
を軽視しては決していけません。

1棟目を購入する時点より、戸数については十分に検討をして下さい。

 

より現実的な収支計算を

投資の初めは夢を描いていて、理想ばかり追ってしまいがちです。

ですが、現実を見据えておかなければ必ず足をすくわれる時がきます。

 

多くの経験者が警告をしている部分。収支計算については十分な余裕を
持って、購入の検討をするべきであると僕も思います。

 

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