物価上昇率2%目標達成時期が先送りにチャンスあり

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日銀が物価上昇率2%目標を先送りしました。金融政策決定会合にて、
物価見通しを下方修正した形です。

これまでの「2018年度ごろ」という予測から「19年度ごろ」へ1年間
後ろにずらしています。

いくら金融緩和をしても市中に広くお金が広がるには時間が掛かって
当然です。政府が強力に財政出動を同時に行えば可能だった可能性も
ありますが、財政健全化の建前上それは実現できていません。

結果、市場には資金のみ供給し、自律的な回復を待つ形となっていて。
デフレに慣れ過ぎた日本人の感覚が矯正されるのにも数年どころでは
ない時間が必要でしょうから、達成はもう少し後になると思われます。

 

そもそも物価が上がってもGDPの成長率がそれを上回らなければNG
なのですから、そもそも最初の設定に無理があり過ぎたのです。

人口が減少していく中でGDPを上昇させるには「一人当たりのGDP」
を上げるしかなく、そのためには労働賃金の上昇が必須。しかし企業
としては賃金はそう急に上げられませんから、無理で当たり前。

長期のデフレをひっくり返すには、多少過激な目標を立てるくらいで
丁度良かったと思いますので僕は先送りも気になりませんけれども。
方針、方向性を明確にするにはインパクト十分だったでしょう。

 

そして、僕はこの物価目標の先送りを、別の意味で好意的に解釈して
います。

むしろ、もう数年間は先送りして欲しい、と考える程。今後の自分の
行動を考えると、まだ堅調なインフレ傾向となるのは早すぎる、との
気持ちが強いためです。

小動きの中の方がビジネスは続けやすいです。

先送りにチャンスあり

物価目標が先送りされるという事は、金融政策としては金融緩和維持
が基本路線になります。

物価目標を達成するには金融緩和を続ける必要がありますが、更なる
追加緩和をするほどには物価上昇率は弱くないとすれば、現状の政策
を維持したくなるはずです。

黒田日銀総裁の任期までに達成されなかったのは、日銀総裁の立場と
しては公約を守れなかったと責められるかもしれませんが、そこは僕
には関係の無い話。

今後黒田総裁が再任されるか、金融緩和路線を追認する方が日銀総裁
として選ばれればそれで満足です。

現状の予測としては黒田総裁の再任が有力視されているようですね。

 

立てた目標を達成できてはいませんが、物価目標の先送りは金融政策
の長期的な安定に寄与します。ビジネスをしていて最も恐ろしいのは、
政策の転換による市場の動揺です。

株価も為替もそれぞれの国の指標や指針が揺れ動くことで大きな変動
が発生します。

かの民主党政権時代、当時の藤井財務相が円高容認の発言をしただけ
で1ドル70円台の歴史的な円高を起こしたのを覚えている方は多いと
思います。そこから数々の企業が窮地に立たされていったのも。

 

ビジネスをする上で、金融政策が安定しているというのは極めて重要
です。数年おきにコロコロと変わっていたらたまったものではない。

現在マイナス金利政策が継続中ですが、もし明日からマイナス金利を
止めます、と言われたらどうでしょうか。金利は急騰し国家破綻すら
視野に入りますが、それ以前に社会が持ちません。

住宅ローン金利も事業向け融資の金利も跳ね上がり、返済すら困難と
なる個人、企業が大発生するのは確実です。

円相場や株価も激しく変動するでしょうね。一部の投機を生業とする
方々は喜ぶかもしれませんけれども、大多数の人間は困るばかり。

 

当面、現状程度の物価目標を達成するために金融緩和策が維持される
のは、今まさに融資を借り入れて事業拡大をしている人間にとっては
非常にありがたい。

何しろ、融資は受けやすく、金利は低く抑えられるのですから。

金融緩和が解除されて金利が上昇してくのは、是非とも融資を受ける
必要がなくなってからのタイミングにしてもらいたいところです。

 

税制と財政政策のバランスが鍵

不動産市場は金融政策から市場が歪みやすい性質ですので、あまりに
長期の金融緩和の持続も望ましくは無いと思いますけれどね。

また、ETFの購入も年6兆円で維持されるとのことで、一部の大企業に
ばかりお金が流れて中小零細は厳しくなる一方となる恐れもあります。

日本の強みは数多ある中小企業の存在が大きく、また起業家も最初は
中小零細から始まるのですからそういったところを支援しお金の流れ
を作っていくようにしなければ、日本経済の基礎が壊れてしまいます。

金融政策頼みにならず、日本政府には偏りの無い財政政策を推進して
欲しいところ。大企業とその他の企業の格差縮小こそが、日本経済の
復活の鍵と思いますから。

 

その上で、財政健全化も社会保障に割り当てられる資金の維持のため
に必要な施策ですから、外国をも巻き込んだ税制改正を考えて欲しい
ところ。

そういった意味で、先日検討を報じられた出国時の課税は非常に良い
と思います。外国からの旅行者は既に想定を超えており、これ以上の
急増は社会に負担が掛かりますから抑制策にもなりますしね。

 

日銀の物価上昇予測後退はネガティブなニュースのように報道されて
いますが、予定通り進んでいるかどうかの話であって、予定が正しい
とは限りません。

僕にはゆっくりとした物価上昇の方が正しいように思えます。是非、
今の程度のペースでもう少しの間予想を裏切り続けて欲しいものです。

 

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