不動産投資の言葉の定義は強く歪んでいます。

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医師という職業をするに当たって最も重要であると
日頃から僕が思っていることは、「話を聞くこと」
であると思っています。

正直言って診察の7割は問診で決まります。
多くの場合、話を聞くだけでおおよその診断がつくもの。

かといって残りの3割をおろそかにしてはいけませんが、
多くの場合は「確認作業」でしかありません。
問診から想定した状態であるかどうかの確認で

日常診察でもっとも重視されるべきは問診であるというのは
僕にとって絶対に譲れない信念です。

 

そんな重要な問診の中で、どうしても完全な解決ができないことがあります。

言葉の定義の問題です。

専門用語、一般的な用語に関わらず、万人に一致する言葉の定義が
万人に定着していないため、どうしても理解に差が出ます。

言葉の定義を説明するにも言葉で行わなければいけませんから、
説明の段階で別の言葉の定義の問題が発生します。

厳密にいえば言葉の定義は決められているものですが、決められていても
正確にそれを理解している人は少ないもので、独自の定義を持っていたり
説明されても一度の話では正確な理解が得られなかったり。

 

定義が少し違うだけで話の内容は大きく変わります。

そこが、話が拗れてしまったり誤解を生じたり、恨みを買ってしまったり
とトラブルを作る大きな原因となってしまいます。

だから、話を聞いたり説明したりする時、僕は言葉の定義を
できるだけ明確にするように心掛けています。

診察の場では時間が限られていますし、非常に理解をし難いことが
多いために一度の話ではなかなかうまいこといかないのですが。

 

僕は常々、小学校や中学校で保健体育でなく「医学」という授業を
作るべきであると思っているのですが、その理由はここにあります。

自分の身体のことですからね、自分で分かっていないと不安で
仕方ないのではないかなと思うのですが。

保健体育なんて皆、異性の身体の作りのページしか読んでませんよ。(笑)

医療について、誰もがより理解を深める時代がくるといいのですが。

言葉の定義が間違えば、どんなにすばらしい講義も台無しです。

言葉の定義の曖昧さが悲劇を招く

言葉の定義は診察の場だけでなく、あらゆるコミュニケーションにおいて
とてつもなく重要なことです。勿論、不動産投資においても。

しかも、医学用語と異なり言葉が明確に定義づけられていない、
なんてことも多々あります。これが、非常に怖い。

 

初心者は自分の中での言葉の定義を持っていませんから、
簡単に誤解をしてしまったり、混乱したり、最悪の場合
騙されてしまったりする。

不動産初心者ほど、この不明確な言葉の定義に注意を払い、
定義の違いによる混乱を避けなければいけません。

不動産投資はスタートで間違ってしまったら、軌道を立て直すのに
とんでもない労力と金銭的損失を覚悟しなければならないのですから。
理解不十分でスタートするなんて、絶対にしてはいけません。

 

定義が人により異なる言葉の代表例としては、例えばキャッシュフロー
利回り、といった収益性に関する単語があります。

 

キャッシュフローは日本語にすると現金収支と訳されます。

このキャッシュフローという言葉、意味的には手元に残る現金、
という意味で使われてはいますが、収支の内訳については
「こうである」と決まっていません。

家賃収入から融資返済をした金額なのか、経費まで含めるのか、
税引後の数字なのか、人によってその内訳は異なっています。

 

利回りという単語も同じです。ただ利回りと言った場合、
表面利回りのことなのか、ネット利回りのことなのか。

表面利回りの場合、仲介手数料や火災保険料、消費税などの
各種初期費用を含んだものなのか、そうでないのか。
不動産取得税は含んでいないのか。

ネット利回りの場合、前述のキャッシュフローと同じように
どこまでを収支に含めて計算した数字であるのか。

 

ちょっと違うだけで数字の印象は大きく変わります。

初心者はここで勘違いしてしまうと、収益不動産を購入して
一年ほど経ってから、通帳を見てこんなはずじゃなかったのに、
と後悔をすることになってしまうかもしれません。

言葉の定義一つで、人生が狂ってしまう可能性があるんです。

 

多様化、個人重視の時代だからこそできる歪

何故こんなことになってしまっているのか。

ここからは勝手な推測ですが、不動産投資市場の特殊性といくつかの偶然、
そしてほんの一滴の悪意が、現在の不動産投資における言葉の定義の混沌を
作り出してしまったのではないかなと思います。

 

一つは、不動産投資市場参入者のうち、全くの無知な素人の参入が
無視できないほどの人数であるということ。そして、取引には必ず
プロが介入しなければ市場が成り立たないこと。

素人に説明をするうちに、解りやすく説明しようとして言葉が足りず、
そのうちに言葉が歪んでしまうなんてよくある話。

 

次に、インターネットの発達により不動産投資の情報発信が多様化したこと。

宅建業事業者、不動産投資コンサルタント、税理士などのプロから
ベテランの不動産投資家、果ては僕のような素人同然の初心者や
不動産投資をこれからスタートしたい人まで。

多くの人が情報発信を始めました。しかし共通した不動産投資の教科書が
存在しない以上、誰もが自由に自分の定義した言葉を使います。
そして、多くの場合は定義を伝えたりしません。

言葉の定義が歪んで当然です。

 

資産運用のジャンルでは情報商材や書籍化などの情報ビジネスが
活発であるのも、情報発信がさらに多様化し、言葉の定義の混乱を
招いていますね。

そのビジネスの中で、ちょっと余分に稼いでやろうとか、
何も分かっていない素人から搾取してやろうといった悪意が
言葉の定義を意図的に歪めている側面も無視できません。

そもそも、キャッシュフローなんて言葉をわざわざ使う必要あるでしょうか?
利益、でいいじゃありませんか。キャッシュフローという言葉は知らなくても
利益という単語を知らない日本人はいないでしょう。

言葉が定義しにくいのは確かにあると思います。しかし、だからといって
わざわざ素人には理解しにくい言葉を使うのは、顧客を混乱させて
利益を上澄みさせようという意図があったと邪推せざるを得ません。

 

ただ、これらの単語を使っている人が全員悪意があるのではなく、
市場が拡がり言葉が広まった結果、専門用語としてすっかり
定着をしてしまったというのが本当のところではないでしょうか。

言葉に罪はありません。根付いたものは一般化したと認められるのは
言葉の時代の流れの中でままあることです。

 

2014年以降はセールスにより注意を

定着したとはいっても、混乱のもとであったり、今でも悪意を持って
言葉を利用している人がいることに変わりはありません。

特に、不動産投資をこれから始めようと考えている初心者の方は、
言葉の定義について本当に警戒しなくてはいけない。

 

今後、不動産価格が上昇傾向になっていくとすれば、セールスは
より苛烈になっていきます。

売りたいがために危ない橋を渡る企業や人も出てくるでしょう。

そんな人たちから身を守るため、一つ一つの言葉がどう定義されているのか、
常日頃から疑問視し、確認をする習慣付けをしなければなりません。

 

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