不動産投資の利回りについて再確認する【3】収益不動産はリスク資産か安全資産か

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利回りについて、第3回目です。
前回:不動産投資の利回りについて再確認する【2】今後の利回りの動向

 

前回は現在の収益不動産の利回りの低下と今後の展望を確認した上で、利回りという観点
からは不動産投資の買い時はもう過ぎ去ってしまったのだろうかとの問題提起をしました。

「投資」において絶対安定が得られるのは、大底を拾い上げた場合のみ。株価だろうと
為替だろうと一番下がった時に購入することができれば、絶対に損をしません。

しかし残念ながらどこが大底であるかを知る術はありません。下がり続ける相場で大底を
拾い上げようとするのはとてつもなく勇気がいることです。

何しろトレンドに逆らって「逆張り」しなければいけないのですから。民主党政権時代、
超円高が進行して1ドル75円になった時にドルを長期保有目的で買えた方がどれほど
いたでしょうか。

不動産投資の場合、経営が主体になりますから下落し続ける相場であっても売却損以上に
利益を上げればいいと考えることができましたから、まだマシでしたが。

生き残っているのはほとんどがしっかりと不動産投資を経営者目線で見て、利益を上げる
ことにこだわった人だけです。

収益不動産はかつて、サラリーマンが利回りにつられて購入するにはリスクが高い商品
だったということ。

いわゆる「リスク資産」ですね。

リスク資産ばかり抱えると、ある日とんでもないことに?

利回りが高いのは理由がある

リスク資産の特徴は「利回りが高いこと」

今でもそうです。リスクの高い収益不動産は利回りが高くなっています。都心の物件より
地方の物件の方が、新築の物件よりも築古物件の方が利回りが高い。

価格の下落する可能性が高いために、その分だけ利回りも高くなければ売れないからです。

 

株や為替の世界では、景気が上向くことが期待されればリスク資産の人気が高まり、
景気が悪くなることが不安視されれば安全資産の人気が高まります。

何らかの指標の結果、リスクを取る嗜好が高まった、とかリスク回避の動きが強まった、
なんて解説がアナリストからされることもありますね。

正直言ってあの手の解説は後付なこともあり、「ホントかよ」と思うことも多々あるのが
本当のところですが(笑)。

 

リスク資産と言われるのは、通貨であれば「南アフリカ・ランド」「ブラジル・レアル」
に代表されるような高金利通貨。

なぜこれらの国々の通貨が高いかといえば『金利を高くしないとお金を集められないから』
に他なりません。銀行の原資は預金です。預金額を増やしたいがために金利を上げています。

 

国債でもそうですね。2010年のユーロ通貨危機以降、デフォルトが危ぶまれたギリシャの
長期金利(10年物国債の利回り)は最大で38.5%まで上昇しています。そこまで利回りを
引き上げないと買い手がつかない状況だったんです。

デフォルトすれば金利が受け取れないどころか元本すら失う可能性があるのですから、
買う人が現れなくて当然ですよね。まさにリスク資産といえます。

 

利回りが高いのはそれなりに理由があってのことであることを忘れてはいけません。

 

利回りが低くなるのにも理由がある

それと同じように、利回りが低いのもそれなりの理由があります

日本国債の長期金利はもうすぐ0.5%へと到達しようとしています。0.5%の金利では一部の
銀行の定期預金よりも低い利回りにしかなりません。

なぜこんなに日本国債の長期金利が低いかといえば、政策がそれを維持しようとしている
のも理由のひとつではありますが、大きくまとめてしまえば「その安全性から買いたい人
がそれだけいる」ためです。

余ったお金の投資先であれば安全性を重視して然るべきですから。また買い手が多いなら
価格が下落する可能性も小さくなりますよね。

 

経済動向が不安であるからこそ、安全資産にお金が集まっています。自民党安倍政権が発足
してから1年半以上経過しますが、経済政策の効果はまだまだ不十分で、日本の景気動向の
先行きは不透明なまま。

悪いニュースも不定期に入っており、地政学的なリスクも高まっています。

こんな状態で積極的にリスク資産へと投資が集まることは考えにくい。株価は2014年に入り
下落し、今はやや持ち直してはいるものの停滞しているのがその証拠です。

 

ではなぜ収益不動産の価格は上昇し、利回りは低下しているのでしょうか。

それは不動産が「安全資産」であると評価されているからです。短期売買が困難な日本の
不動産に投資が集まるということは、日本の不動産は長期的に安全であると考えられて
いるということ。

確かに僕もそう思います。理由は前回にも書いた通り。収益不動産は今後しばらくの間、
極めて安全な資産であり続けるのではないでしょうか。

利回りが下がって当然です。

 

収益不動産は高利回りな安全資産

そんな安全資産であるにも関わらず、実質利回りは5%を超えて当たり前。人気が出ない訳が
ありません。

そう、今は高利回りの安全資産を購入するチャンスなんです。

超高利回りだけれどもリスクのある資産と、ある程度の高利回りであり安全性も高い資産、
どちらが欲しいと思いますか?

人によって答えは違うと思いますが、より人気が集まるのは常に後者。前者は買えないと
いう方は少なくない。

 

初心者であるのに収益不動産の利回りが昔よりも低くなったと嘆く人はギャンブルを
したがっているように感じてしまいます。

多少利回りが下がっても安全確実な投資ができるなら、いいじゃありませんか。
投資の内容をそれに合わせたものにアレンジすればいいだけです。

利回りが下がったから収益不動産に魅力が無くなったと感じる方は、もう少し現実を見る
ようにした方がいいかもしれません。

 

続きます。

 

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