難しい事故(心理的瑕疵)物件の取り扱い

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とある知人の話ですが。

知人の住んでいるマンション内、近隣の部屋の方が飛び降り自殺をされたそうです。
本当に死亡されたかどうかはともかくとして、かなりの量の出血があり相当生々しい
現場だったとか。

飛び降り自殺をされた方はご愁傷様です。恐らく何らかの精神疾患を抱えられていた
のだろうとは思いますが……。

 

まあ僕自身は人の生き死にには結構ドライな方で、生きている間は何とかしよう、と
できる限り頑張りますが、既に亡くなられてしまった場合にはあまり感情移入をせず
次に切り替えるようにしています。

人の死に対する僕の仕事は、自分の関わった患者さんが出棺されるまで。それ以上に
感傷的になってしまうと次の仕事に支障がでます。

それでもインパクトがあり、はっきりと覚えている症例もありますけれども。

一つ感情を揺さぶられるものといえば、子供の餓死事件。親が自宅に閉じ込めたまま
乳幼児を放置した、といった事件です。

この手のニュースをする時は子供の胃袋から何が出てきたとか報道するんですよね。
あれを聞くと、どうしても子供が苦しんでいる場面を想像してしまう。

先月もそんな報道がなされ、胸が詰まる思いです。

 

このような事件や事故は、そこそこの確率で住宅内で発生します。
いわゆる「事故物件」ですね。

不動産所有者が最も恐れることの一つがこれです。地震よりも、火災よりも、何より
遥かに恐ろしいのが、事件や自殺、です。

心理的瑕疵物件には投資家としても積極的には近寄りたくないものですが。

物件の価値を毀損する心理的瑕疵

誰もがご存知のことと思いますが、日本の不動産は事故物件となってしまうことで、
その価値が大幅に毀損されます。

一言で言ってしまえば「縁起が悪い」だけですが、宗教的・霊的に過敏な人にとって
は大変大きな問題なのでしょう。

現実に得られる大きなメリットに目を瞑ってでも避けたいのですから。

 

事故や自殺などで物件の価値が毀損されることに関しては国家公認。

不動産の取引においては重要事項説明を行うことが義務化されており、その中に瑕疵
についての告知義務が存在します。

瑕疵とは目に見えない、気がつきにくい不具合のこと。

 

そしてその中に「心理的瑕疵」なるものが存在します。これが「人の生き死に」など
について、なんですね。心理的瑕疵を重要事項説明で告知しないと告知義務違反です
から、まともな業者であればしっかりと(嫌でも)教えてくれます。

事故物件は価格が安くなり不動産業者にとっても手数料が高く取れないため、あの手
この手を使って告知義務を外そうと工夫をされた時代もあったようですが。

最近はそういった小細工は無効であり、概ね10年程度(正式な決まりはありません)
経過するまでは告知義務がある、とされることが多いです。

 

日本人の多くは宗教に無頓着なわりに縁起にはこだわりますから、仕方ありません。

ただ最近は縁起の悪さよりも価格の安さということで、積極的に事故物件へと入居を
される方も増えてきているようです。この傾向がもっと強まれば、事故物件となった
ことによる価格下落リスクも多少は薄まってくれるのですが。

 

事故物件かどうかを知る手段

事故物件であるかどうかは、ある程度調べることができます。

「大島てる」。知る人ぞ知る、国内唯一の事故物件公示サイトです。

 

大島てる CAVEAT EMPTOR: 事故物件公示サイト

 

自分で住む分には、縁起を気にしないのであれば得しかしない事故物件ですが、投資
をするとなるとそうはいきません。

事故物件であるかどうか、どのような事故物件であるかによって、投資価値があるか
どうかも変わってくるからです。

 

単純な心理的瑕疵であればそれを価格交渉の材料とすればいいだけです。事故物件は
その格安な家賃のために何気に需要がありますので、価格的な正当性さえあるならば
わざわざ避ける必要はありません。

多少気になる方でも、自分が住むわけではないのですからいいでしょう。

 

ただ、事故物件となった理由によっては避けた方が良い場合もあります。少なくとも
僕は「ファミリータイプ」であったり「殺人事件」であった時は避けています。

家族向けだと家族の誰か一人が反対すれば入居してくれませんし、殺人事件であると
その事件が本当に解決したかどうかが分からないため。

ですから、気になる場合は念のため「大島てる」で調べておくことを推奨します。

 

とはいえ、僕も現状は事故物件なんて所有してはいないのですが。前述の「大島てる」
で調べましたが、所有物件が登録されていることはありませんでした。

けれども近隣には結構あるんですよね。中には建物の写真まで掲載されているものも。
こんなことまで簡単に調べられてしまうのですから、恐ろしい時代です。

 

事故物件には割り切りが必要

ちなみに純粋な「病死、および自然死」の場合は告知義務は無いようです。

病死や自然死まで告知義務に含めてしまうと、老人ホームや高サ住など築年数が進む
ことでとんでもないことになってしまいます。(苦笑)

心理的瑕疵といいながら、中途半端だなぁとも思わないでもありません。

 

住宅は人らしい生活を歩むために必須の存在ですので、住宅を取り扱う以上人の生き
死にに関わらざるを得ません。あまり深く考えると苦痛なだけですので、割り切って
ドライに考えた方がいいのではないかと個人的には思います。

なんて考えることができるのも、日常的に医療に直接携わっているからこそなのかも
しれませんが……。

 

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