安全コストの軽視はデフレの元凶であり、将来へツケを回すのみ

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不動産投資は賃貸経営が基本ですので、お金の勘定をしないわけ
にはいかないのですが。

お金に着目しすぎると、目に見えないコストを見逃しやすくなり。
最終的にお金に換算しても損をしてしまうなんてケースは珍しく
ありません。

 

金勘定と書いてしまうのは不謹慎な話ですが、この冬に起こった
バス事故はまさに見えないコストを軽視した結果、被害に遭って
しまった代表といえます。

見えないコストの代表例は安全。安全とは、コストに大きく跳ね
返るんです。

 

バス事故の件では、当事者であるバス事業者は法律で定められた
安全を確保する為のコストを削減し、格安でサービスを提供して
いました。

安全コストというものは、問題が発生しなければ余計なコストに
過ぎないためです。

値段はそのままに安全コストを削減すれば利益が増えるし、価格
に削減分を反映すれば価格競争力が強化される。

それを地で行ったがために、起こるべくして起こった事故だった
と言えます。

利用者も格安に惹かれてしまうのは理解できますが、企業努力の
結果であるなどと好意的に解釈するのではなく、何か理由が存在
すると疑うべきで。

低価格の裏には何かが犠牲になっている、それが積もり積もれば
大きな問題に発展する、との視点を持たなければいけません。

『格安』に手を出すのであれば、それ相応の覚悟をしてから利用
しなければならいでしょう。

 

冷凍カツ事件もそうでしたよね。安全性を犠牲にして格安の商売
を行っていた。健康被害があったかどうかは定かではありません
が、何故消費期限が定められているかを考えればどうでしょうか。

モノやサービスの良さの割りに価格が安すぎる場合は安全コスト
が犠牲になっていると思って間違いありません。

安全重視の考えこそとても重要です。

安全コストの認識を高めるべき

しかも、安全コストを犠牲にした格安商売はデフレの元凶であり、
真面目に商売をする人に大きな損害を与えています。

それは景気の悪化を生み、労働者の賃金を押し下げる原因です。

格安が広まればそれだけ市中で回るお金の総量が減ります。賃金
は市中で動いたお金から支払われるのですから、給与が連動して
下がるのは当たり前。

 

結果、更に格安の需要が生まれ、その他の分野にもデフレの波が
広がり、経済は縮小していく。

私たちの糧である家賃収入も減少の一途を辿ってしまう。

 

時々『無駄』という単語を聞きますけれども、こと経済において
無駄とはなんでしょうか。

違法な商売による経済が無駄である、というのなら分かりますが、
適法であり需要があれば、無駄なんて一円もないのでは、と僕は
考えていて。

 

何しろその『無駄』なコストが増えても市中にお金が回り、全て
は最終的に人の賃金となっていくのですから。

適法性を守る為の安全コストは無駄である、との考え方は事業者、
消費者のどちらであっても滑稽でしかない。

 

安全コストを軽視したが故の悲劇を繰り返させないためには当然
ながら、最後にはわが身に返る景気にも反映される見えない費用
への考え方。

安全確保と景気回復のために解決されるべき問題は山積みですが。

事業者はもちろんのこと、消費者の安全コストに対する意識改革
も、かなり重要な課題として取り組まれなければいけないように
感じます。

 

ツケの支払いは必ず来る

不動産投資では、業務上安全面について考慮しなければいけない
ところが多数あります。

大勢の人が出入りする不動産ですから十分な配慮をして然るべき
で、軽々しく考えてはいけません。

確かに安全コストを安く済ませれば、手元に残る利益は増えます。
利益率の低い不動産投資において、経費削減は命題であり、安く
済ませられるには越した事ありません。

 

が、それには大きな損害が発生するリスク、及び人命被害が出る
リスクを抱えている事実を忘れてはなりません。

よく、管理会社経由で修繕や設備交換をすると高いお金が掛かる
と言われ、独自に行っている方がいらっしゃいます。

しっかりした知識のもと、独自ルートを開発してやっているなら
いいのですが、そうでなくただ安さを追求したいだけの場合は、
危ないと言わざるを得ない。

 

例えばエアコンが高すぎるから中古品などを仕入れて設置をして
いるとの話を聞きますが、エアコンの洗浄液が出火の原因となる
事故が多発している事実をご存知でしょうか。

どのような扱いがされているか分からない中古品を賃貸住宅へと
多数利用していれば、それだけ事故リスクは高まります。

エレベーターほか共有設備の修繕や部品交換を推奨されている際、
安易にまだ大丈夫だろうと先延ばしにしている内に、重大事故に
発展しないとは限りません。

 

単純に危険を煽るのは無責任なのは分かります。危険を煽って、
不要な修繕などを迫る悪質な業者も少なくありませんし、悪意は
無くとも稼ぎを増やすべく早めの交換を推奨するケースは多い。

しかしだからといって安全を軽視してよいわけではない。経営者
として、消費者に安全コストを掛ける必要性を十分説明した上で
コストの転嫁を理解頂く努力をすべきです。

 

昨今、世界中で安さを追い求めすぎた結果と思われる事故が多発
しています。

台湾のマンション倒壊もその一つですし、日本でも食品異物混入、
杭打ち問題、バス事故、冷凍カツなど安全を意識させられる事件
が途絶えません。

これからより注目を浴びていくでしょう。

 

その時、私たちがどのような考えでいるかは、不動産投資を継続
する上で大きな分かれ道になるように思います。

僕は、多少利益を削ろうとも安全コストを重視する方向性で経営
をしていますが、貴方はいかがでしょうか。

 

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