新築アパート投資は予想通り減速中。

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新築貸家建設にブレーキが掛かっています。

正直なところこうなるのは目に見えておりましたので、今さら驚く
ところは何一つないのですけれども、建設業界や一部不動産投資家
からは悲鳴が上がっているようです。

国土交通省が発表した貸家着工戸数は6か月連続で前年同月比割れ
をしており、今後も伸びはあまり期待できません。既に過当競争と
なっている地域が少なくないのが現実です。

 

金融機関が収益不動産に対する融資を引き締めているのも、大きく
影響しているものと思われます。

お金を出すところが無ければ新築アパートの建設なんてできません
から。恐らく金融機関もぼちぼち新築アパートの収益性の厳しさに
気が付いてきたのではないでしょうか。

金融機関の営業マンの中には、自分の業績が伸びれば将来のリスク
など知った事ではない、という勢いで、通りやすい新築アパートの
融資を稟議に上げまくった人もいるでしょう。

しかし度を過ぎれば本部も気が付きます。金融庁や日銀から警告が
出されているなら尚のこと。

 

新築アパートは、中古以上に計画性を持った戦略が必要なビジネス
です。その理由は、価格競争力の弱さにあります。

新築アパート(賃貸マンション含む)は、価格競争力が弱いです。
特に昨今はアパートを新築するためのコストが上昇しており、更に
コスト的には厳しくなっています。

資材価格の上昇、人件費の上昇が主な原因でしょう。そしてどちら
も今後下がるどころか上がる気配しかありませんで、新築アパート
がいっそう価格競争力を落としていくのは火を見るより明らか。

 

物価や税金、社会保障費の上昇を理由に個人が消費に対するコスト
意識を高める中、家賃は食費と並んで敏感にならざるを得ない部分。
こうした環境で価格競争力の弱い新築は圧倒的に不利です。

空室率が高まれば、その分だけ家賃を下げて入居を促進する以外に
なく、そうすると利回りがより厳しくなり、何とか損失を出さない
ように立ち回るしかなくなって。

オーナーにとっては追い詰められた形となってしまいます。特徴の
ない新築マンションを建設してしまったら、その命運は厳しいもの
となるでしょう。

 

大手建設が煽って個人に新築アパートを作らせている面もあって、
誘惑に駆られている人は今後更なる注意が必要と思われます。

新築アパートの建設は当面鈍りそうです。

予想できた新築投資の減速

新築アパートが厳しい局面となっている要因に、中古アパートの
価格以外の競争力の上昇もあると思います。

一番は、リフォームリノベーションが社会的に受け入れられた
というのが大きい。建物自体は中古でも、内装が非常にきれいで
あたかも新築気分が味わえる物件が随分多くなりました。

それも新築アパートよりも低価格なわけで、顧客の視点で見れば
選択肢が増えた形。

賃貸住宅にそこまで新築を追い求める人は、現代ではあまり多く
ないのではないでしょうか。であれば、価格が安い方が選ばれて
当然でしょう。

 

これは、個人不動産投資家が頑張ってきたのも理由の一つである
と考えられます。中古アパートやマンションで創意工夫を凝らし、
のし上がろうとした努力の結果です。

そこに、経済的に厳しい時代を経て見栄を張るより実利を取る、
合理的な考えの人間が増えただろうことも大きい。

若い世代なんて、そもそも税金や社会保障費の増大により手取り
賃金に余裕のない人が多く、コストの掛かる新築を忌避する傾向
すらあります。

 

多くの要素が、新築アパートが厳しく、中古物件への投資が優位
に立てるであろうとの予測と結びつきます。

耐震性能も旧耐震の建物でもなければ十分な中古アパートの建物
としての寿命は今後も伸びていくと思われ、そうなると新築案件
は更に縮小していく可能性があります。

もし新築アパートが隆盛するとしたら、高所得層、富裕層が賃貸
住宅に価値を見出し、ブームが起こるなどでしょうか。高所得者
向けの高級賃貸が増えれば可能性はなくはありません。

それには対象となる層に厚みが必要となります。海外から富裕層
が移民でもしてくればよもや、といったところですが、それでも
今の新築市場とは別ものです。

 

少なくとも従来型の新築アパートは、今後当面の間極めて厳しい
環境に追いやられたままとなるのではないかと考えています。

 

資産の無い人間には厳しい投資

新築アパートの建設は、よほど資金的に余裕のある人間以外には
合わない投資です。

融資は中古よりも引き出しやすいですし、入居も付きやすい印象
がありますからあたかも素人向け、導入向けのようなイメージを
持つ人もいるかもしれませんし。

新築は建設業が潤いますしデベロッパーにとっても利益率が高い
ものですから、広告戦略にも力が入っていて惑わされやすい環境
が構築されてしまっています。

 

が、利回りの面で本当に厳しい。修繕費用が当面不要なため実質
利回りは遜色ないと言われる部分もありますけれども、中古でも
修繕費用など最初から織り込んで買うものであって。

そう考えると、元から利回りが高い方が収益性のポテンシャルは
ずっと高い計算になり、通常の個人レベルの投資においては中古
物件の優位性は揺るぎません。

 

新築アパートの持つ潜在能力を活かせるのは、それなりの実力を
持った人間だけと思われます。

これから収益不動産に手を出そうと考えている方は、その辺りを
勘違いしない、させられないようにお気をつけ下さい。

もちろん、自信を持って新築投資へと挑めるのならば、日本経済
にも大いに良い影響を与えますから是非チャレンジして欲しいし、
個人的には応援をしております。

 

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