低金利が退職金制度を脅かす。自分のお金は自分で運用する時代へ。

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退職金。

サラリーマンの方にとっては最後の希望のような制度です。退職金
は税も安く、まとまった資金が手元に入る為、住宅ローンの返済に
活用しようと考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

現在、この退職金が脅かされています。それを支払うはずの企業の
手によって。

 

定年越えの融資期間で住宅ローンを組んでいる場合は、借りる側も
貸す側も退職金まで計算に入れているのは間違いないでしょう。

貸す側である金融機関は、年金まで計算に入れているものと思われ、
どれだけ絞るつもりなのだろうかと怖くなります。借りる側が融資
を期待する以上、悪い事とは言いませんけれども。

しかし昨今、退職金が期待できなくなりつつある事くらい、仮にも
金融業の人間であれば誰しも知っているはずではないでしょうか。

 

退職金は『積立制度』です。本来は給与として労働者に支払われる
お金を退職金の名目で会社に積み立て、退職時にまとめて一時金と
して受け取る制度。

積み立てているお金は企業が運用し、運用益が出た分を加え支払う
形となっています。

 

正直なところ、これは企業側に実に都合のいい制度です。

積み立てられているお金は企業側の金融資産として利用されます。
企業からすれば本来失われるはずのお金を一部保留して手元に残す
形ですから、資金繰りは楽になります。

また、社員を縛る枷ともなります。積立金が企業に預かられていて、
早期に退職してしまうと受け取れる退職金が長く務めた場合よりも
少なくなってしまう。多く欲しければ、辞められません。

企業の役員にとっては役員報酬として会社からお金を貰うと、収入
が高額な分だけ高額の納税を義務付けられますが、退職金としての
支払いならばそれを免れられます。掛け目まで掛けられます。

企業としても企業を操縦する役員としても、とてもありがたい制度
となっています。これは将来的にも変わらないでしょう。

特に法人の所有者兼経営者にとっては、非常にお得な制度ですね。

退職金に期待し過ぎるのは禁物な時代です。

金利低迷により減る退職金

しかし雇用される労働者の立場ではどうでしょうか。

昨今、金融機関への預入金利は極端に低下しています。もはやほぼ
ゼロといっても過言ではないほどに。

退職金が積み立てられていくとして、果たしてどの程度の上乗せが
期待できるものか。たとえ企業の利益が上がったとしても、退職金
が業績に依存して増えるとは思えません。この低金利では。

 

退職金受け取りによる税負担軽減作用が小さい一般労働者にとって、
今後は退職金制度というものは自由資金を企業に縛られるだけで、
機会損失を生み出す悪制でしかないかもしれません。

積み立てられたお金が今手元にあったら、自分で運用をしてもっと
手残りを増やせるのに。そのような悔しい思いをされる方が増える
だろうと予想されます。

いえ、その前に退職金の少なさに愕然として人生設計が狂わされた
と絶望を感じる人が激増するでしょうか。住宅ローンが賄いきれず
年金や継続雇用賃金で支払い、生活苦に陥る方々が。

 

退職金受取額の減少が数字として現実化してくると、若年世代から
失望の声が挙がるでしょう。企業への忠誠心は更に下がり、老後の
不安から消費は減る一方となる未来が見て取れます。

その空気を読んで、企業が退職金制度の廃止、及び支給給与の増加
へ舵を切るならばまだ未来は明るいように思います。

ですが前述のように退職金制度は、企業にも経営陣にも都合の良い
制度。企業財務の悪化と役員の受け取り報酬減額を同時に受け入れ、
労働者を守れる人間がどれほどいるでしょうか。

 

少なくとも古典的な日本企業には難しいように思います。大企業と
いえども今後は厳しくなるのではないでしょうか。

可能性があるとすれば、外資系企業や外資が経営に大きな影響力を
行使する企業だけ。

貴方の勤める企業は、大丈夫でしょうか?

 

運用は自分ですべき時代

退職金への期待値が下がる以上、これまでよりも住宅ローンの融資
期間には厳しくなった方が良さそうです。

頭金を最初から多く入れるか、後から早めに繰り上げ返済を行って
退職金に頼らずとも返済を終えられる計画を立てる事を勧めます。

 

老後の生活資金も、退職金で安心していられる時代ではないと再度
認識して下さい。

誰が何と言おうと、もはや日本で経済的に余裕のある生活を送る為
には、自分で十分なお金を得る努力をするしかありません。企業に
依存した人生はリスクが高すぎる。

 

毎月コツコツとお金を貯めるのもいいでしょう。インフレに弱いと
いう弱点はありますが、一番確実でストレスが少ない方法です。

インフレが怖いなら、一部資金を株式などの比較的安全な銘柄へと
替えておくのが良いと思います。金地金でもいいでしょう。

僕のように住宅ローンを諦め、不動産投資で家賃収入を得る生活を
するのはとてもお勧めです。10年、20年の間に得られる家賃収入の
総計は、一般的な退職金額を遥かに上回ります。

 

経営者側の人間からすると、これからは退職金制度はあまり重視を
せずに、その分毎月の賃金を多く払うようにした方が労働者の意欲
と愛社精神を高められるのではないでしょうか。

将来も大切ですが、現在も大切です。いえ、先立つものがなければ
老後の準備すらできません。

どうせちょっとお金を集めたところで、まともな利回りを確保すら
できないのですから、その分を人材に投資した方がいい。その評判
はインターネットを通じてあっという間に広まります。

 

貰う時は大金をまとめて受け取れる為に嬉しいのでしょうが、金利
が極限まで下がってしまった今、時代に合った制度とは思えません。

いっそのこと、退職金という壁を取っ払った概念で考える方向へと
シフトした方が経営者も労働者も幸せになるのではないでしょうか。

人生設計も、退職金に依存しないようにお気をつけ下さい。

 

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