不動産所有法人は複数化すべきか否か

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最近、1法人1物件のスキームに対して否定的な意見を、ネット上で
よく見ます。急にどうしたのでしょうか。

一つの法人に1棟ものの収益不動産を一つだけ保有するのは、税法
をうまく利用して限りなく納税額を減らそう、というものです。

個人と同じように、法人も利益が増えると税率が高くなる累進課税
となっています。家賃収入から多額の融資返済を行う必要があると
手残りに対して納税額が大きくなるため、税金対策は必須。

 

法人は合法的に分散先を増やせる、不動産投資家にとって大変都合
の良い存在です。利益を低く抑えられれば、法人税率はかなり低く
抑えられますし、消費税課税事業者にもなりにくくなります。

特に消費税は上昇傾向にあります。不動産投資でもテナントなどの
住宅賃貸以外の収入が規模拡大と共に増えていきますから、法人を
複数駆使して使い分けるのは、今の税法上当然と言えるでしょう。

 

もちろん、数字よりもメリットは小さいと思います。法人を作るの
にも維持をするのにもお金が掛かりますし、それぞれに種々の経費
が発生しますので経費率は多少上昇しそうです。

一つひとつの法人のキャッシュフローが小さくなるため、高額支出
は経費として否認されやすくなります。不動産賃貸事業の経費率を
超えた経費計上は税務調査を受ける可能性が高まってしまいます。

また、一つの法人もしくは個人に税務調査が入った際に、他の法人
にも芋づる式に調査対象とされる可能性もありますね。その際は、
大分厳しく調べられてしまう恐れがある気がします。

合法であっても税務署はスキーム利用した極端な税金対策を嫌がり
ますから。

まあ、あくまでも推測でしかありませんが……。

 

それでも、不動産売却時のことまで含めて考えれば現在の時点では
メリットがデメリットを上回っている、とは感じます。

それだけ、節税のメリットは大きい。実効税率の低さは多額の融資
を受けなければならず、返済比率も高くなりがちな不動産投資には
強烈なベネフィットを与えてくれます。

このスキームが合法である限り、1法人1物件の手法を取る方が減る
事はないでしょう。デメリットを熟知したうえで、長期的な方針に
整合するなら普通に「アリ」だと僕は思っています。

器が複数あれば便利なのは確かですが。

メリットデメリットあり

ただ、デメリットを強く主張する方の意見も理解できます。

2016年にパナマ文書が出てきた際の世論の反応、覚えている方は
少なくないでしょう。合法であっても税逃れをしようとするのは、
世間的に大きな信用棄損となります。

1法人1物件スキームはそこまで大げさな話ではありませんけれど、
利用する人が増えれば増えるほど悪目立ちして、修正を迫る世論は
高まっていくでしょう。

 

政府や国税庁としても、節税スキームには常日頃から目を光らせて
います。消費税還付スキームも流行し過ぎたことから潰されるまで
に至りました。まだ完全に潰れたわけではないようですが。

この消費税還付スキームの引き締めが1法人1物件スキーム対策にも
なっているのは明らかで、不公平な制度を公平化しようとの動き
今後も続くのは間違いない。

 

税制面だけではありません。もし1法人1物件で融資を受けるなら、
それぞれ別の金融機関と付き合わなければいけませんので、色々と
手続きが煩雑化していきます。

労力が増えてしまうのは結構なストレスになり、他の業務に支障が
出てしまうのは僕としては大きな問題です。

専業で時間に余裕があるならいいですが、本業を別に持ち精力的に
仕事をしていきたいのであれば、1法人1物件スキームを取るならば
事務的な作業を補ってくれるパートナーが必須と思います。

 

複数法人で他行から融資を受けているのを金融機関に知られた際に
リスクがある、との意見については、経営が普通に安定していれば
特に問題にはならないと思います。

聞かれなければ答える義務はありませんというのは、僕が金融機関
の担当さんから聞いた話。

この辺は、それぞれ金融機関によっても立場は違うと思いますので
自分が不安に感じるそうでないか、で決めればいいと考えます。

 

税制改革次第で意味のないものに

今後法人税率が引き下げられる傾向が進むと、1法人1物件スキーム
から得られるメリットは更に低下しますから、こだわる必要は一切
ないとは思います。

キャッシュフローの大きな法人を抱えるのも、信用という意味では
将来的に極めて強力な武器になります。

法人をいくつに分けたとしても、個人に割り振れるお金には何の差
もありませんから、小さな法人をいくつも持っているよりも大きな
法人を一つ持っている方が便利な場合もあるでしょう。

 

1法人1物件のスキームを利用するか、それとも一つの法人を大きく
構えるかは、どのような方針で不動産投資を進めていきたいか、で
決定されるべきです。

どちらが優れているか、なんてありません。1法人1物件スキームで
失敗したと感じている方も、やはり法人を分ければ良かったと後悔
をしている方もいます。

それは、己の長期戦略に合わないものを選んでしまったのが原因。

 

数字の損得だけでなく、自分に方向性のあっている選択をするのが、
納得のいく投資をする秘訣であると思います。

少なくとも、精神的にストレスのある選択はしないが無難ではない
でしょうか。

 

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