ECBの量的緩和が開始。その影響は。

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先週ついにECB(欧州中央銀行)が量的緩和をスタートさせましたね。

やっていることは日銀が行っている「異次元の金融緩和」と同じです。
ECBが国際を買い入れる形。

 

ただ、その実態は日本よりも遥かに複雑で、舵取りが極めて難しいはず。
というのも、円は日本独自の通貨で通貨発行権は日本にあり、買い取る
国際も日本国債のみ。

しかし、ユーロが用いられるのはEU(欧州連合)のほぼ全域。そこには
多数の国家が存在し、決して一枚岩ではありません。

それぞれの国にそれぞれの事情があり、税制があります。金融政策だけ
で経済の活性化を図ることは不可能であり、それに合わせた政策、税制
を敷くことではじめて量的緩和は効果を発揮する。

EUとはいえ他国に内政干渉することは許されず、国ごとの事情や思惑が
歪みを生み、数々の問題を発生させることとなるでしょう。

ECBの量的緩和の舵取りは、容易なものではなく。

そもそも、ユーロは日本円と異なり、歴史的な通貨高に悩まされていた
訳ではありません。

 

円はドルや他の通貨に対して明らかに供給不足な状態でした。世界的な
経済危機、金融危機が訪れるたびに買われ続けた結果、円の不足が生じ、
デフレを起こしていた。

デフレを解消するべく円の量的緩和を行い、現在その途上にあります。
結果として円は現在1ドル120円前後をうろうろしていますが、週刊誌が
煽るような超円安やハイパーインフレは起きていません。

要するに、需要に対して供給が明らかに追いついていなかったので適正
に戻そうと円を供給した結果、バランスが取れただけ。

経済的にはこれから追いついてくるかどうかですので、注意深く注視を
続ける必要がありますが。

 

それに対し、ユーロは歴史的なユーロ高にあるわけでも、ユーロの需要
が過大となって供給が不足しているわけでもなく。

各国で局地的に経済がうまく回らず、厳しい財政事情を抱えてしまって
いるのをを全体の金融政策でバランスを取ろうとしているだけ。

日本に例えれば、破綻しかけている一部地方自治体を日銀が助けようと
しているようなものであり、さてどうなるのだろうかと興味深い。

欧州経済の今後の動向には注目すべきです。

円とユーロでは環境が大きく異なる

僕が一番懸念しているのは、国ごとに量的緩和の影響にばらつきが出て
不平不満が溜まるのではないか、ということ。

 

日本の中で一つの地方自治体が不平を言っても、戦国時代ではないので
自治体が謀反を起こして独立をするとか、そんなことはあり得ません。

沖縄が独立云々などと極々一部で語られてはいますが、それは外国勢力
からの侵略を受けているだけで。日本において、現代社会で独立を宣言
できるほどのポテンシャルを持つ自治体は東京くらいしかない。

そもそも国家運営のノウハウがありません。円の庇護を離れて独自通貨
で国家を成立させるなど、東京ですらそう簡単にできはしない。

 

しかし、ユーロ圏は違います。元々、全ての国家が独立国として自国の
通貨を持っていたのですから。現在でもEUにはイギリス、スウェーデン、
スイスなど、ユーロを採用していない国も存在するほど。

不平不満から、いつEUを脱退し、ユーロ圏を離脱する国家が出てきても
おかしくありません。

そもそも量的緩和の実行を決定付けたのは、ギリシャのユーロ圏離脱が
懸念されたからですよね。

ドイツだって、一人でユーロ圏経済を支え続けるのが嫌になって、いつ
マルクに戻すと言い出すか分かりません。

ユーロ圏の信頼に歪が生じたらユーロの信用は地に落ちます。それより、
同じユーロ安なら量的緩和を実行して足掻く道を選んだのでしょう。

 

ECBの量的緩和が本当にユーロ圏を救うこととなるかどうかはまだまだ
不透明な事案が山積み。

そもそも欧州は経済的に中国に依存している国が多すぎて、経済体質も
脆弱なまま。中国のバブル崩壊が進む中、欧州はどうするのでしょうか。

ただでさえ物価が高い欧州です。量的緩和を機に過度のインフレが進む
ことのなければいいのですが。

 

ユーロ安をどう見る

ECBが量的緩和をスタートしたことで、ユーロ安は早速始まっています。

為替を見るとき、どうしてもドル/円ばかりを見てしまいがちですが、
これからしばらくはユーロ/円の動きにも注目せざるを得ません。

もっと正確に言うとユーロ/円はクロスレートですので、ユーロ/ドル
を見るべきなのですが、実際に影響するのはクロスレートの方ですので
ユーロ/円に注目、でいいと思います。

 

欧州の自動車や食料品、酒などがまた少し価格が下がるかもしれません。
石油も、欧州産のものは若干価格が下がるでしょうか。

もっとも、日本のインフレ進行や消費税増税により名目上の価格は相殺
されてしまうのでしょうが。

 

日本としては、欧州企業の提携、買収などを進める大チャンスですね。
いっそのこと私たち不動産投資家も欧州の不動産市場へと参入するべき
タイミングであるのかもしれません。

あちらは慢性的に家不足とのことですし、言葉に自身がある方には是非
チャレンジして欲しいところです。

 

残念ながら僕にはその能力がありませんので、ユーロ安によって多少は
買いやすくなるだろう欧州産のワインを楽しむ程度にしておきます。

 

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