いつも応援ありがとうございます。
最近、不動産価格動向で一喜一憂を煽るような
論調の記事を見かけますね。
アベノミクスでインフレにより不動産価格急騰!
と言ったかと思えば、ここ1ヶ月は反落し、利回り上昇!
と短期的な動きを話題にしてみたり。
どちらにしても、今のうちに早く買わないと
稼ぎ時を失いますよ、損しますよと買い煽りをしています。
まあ、これは収益不動産を購入して欲しい側の
思惑が入っているだけなので、この程度の煽りなら
許容範囲だし、嘘を言っているわけではないのでいいんですが。
気になるのは、インフレや不動産価格動向についての
考察を読むと、僕とはだいぶ意見が異なる記事を散見すること。
どちらが正解かは未来人しか知り得ませんから、
批判・否定するのではありませんが、一つの意見に凝り固まると
可能性を狭め、逃げ道を失うだけなので。
ちょっとだけ、反論をしてみようかなと思います。
もう一度、テーマをはっきりさせておきますね。
現在インフレや投資の回帰により日本の不動産価格が下げ止まり、
都市部を中心に上昇地点も現れている。しかし地方では逆に
大幅に下げているところもあり、都市部への投資の集中、
地方の衰退傾向が顕著となっている。
今後もこの状況が続くとみられ、その中不動産投資家は
どのようにして投資を行い、活路を見出すべきか。
まず、自分の意見を頭で5分ほど考えてから、続きをお読み下さい。
…よろしいでしょうか?
では、考察していきましょう。
都市部不動産は安全資産か
ありがちな主張をまとめます。
1.アベノミクスにより不動産価格は下げ幅を狭め、一部上昇している
2.ただし上昇地点は都市部に限られ、地方はまだ下落傾向
3.地方によっては10%以上下落しているところもある
4.都市部への投資は不動産価格の下落は限定的で不安は少ない
5.地方は人口減少も相まり、資産価値は更に下落傾の見込み
6.下落する資産価値分も稼ぐ必要があり、より高い利回りが必要
こんなところでしょうか。
決して間違ったことを言っているのではありませんが、
思考の方向性が僕とはかなり異なります。
1~3はただの事実なので、取り敢えず脇においておきます。
本当はここの理解の仕方がとても大事なのですが、
話の焦点がずれてしまうので、言葉通りに受け取っておいて下さい。
さて、まず4について。
都市部は人気地区であり人口も増えている。
需要が高く、投資も集中しているため今後も
不動産価格の上昇が見込める。
その通りだと思います。
ただ、これが朗報かどうかは人によります。
不動産価格上昇による負担増
一つ目、不動産価格の上昇は
固定資産税や相続税の上昇を伴うため。
自宅のようにキャッシュフローが生まれない場合は勿論、
賃貸経営にも税引後利回りの低下をもたらします。
ただでさえ利回りが低くなる都市部への投資ですから、
固定資産税の上昇は経営に響きます。
家賃上昇が見込めるならいいんですが、
短期的には望めません。
そこを乗り越える資金力が必要です。
不動産価格上昇による利回り低下
二つ目、新規購入の利回りの低下です。
不動産価格の上昇は、家賃の上昇が始まるまで
新規購入物件の収益性の悪化をもたらします。
元々利回りが低い都市部の物件の収益性が更に低くなり、
そこに前述の税負担の増加が加わると、賃貸による
キャッシュフローから利益を出すことは困難になっていきます。
家賃が上がれば、と思うかもしれませんが、
本当に上がるかどうかも分かりません。
すると、キャピタルゲインに頼るしかなくなりますが……
この部分については後述します。
利払いの負担増は不動産価格に比例
三つ目、不動産の絶対価格が大きいこと。
地方より都市部の物件の方が、同じ規模の建物でも
全体的に不動産価格が高額となります。
その分、融資を受ける額も大きくなります。
融資額が大きいと、必然と多くなるのが返済利子総額。
不動産価格が上昇すると当然比例して利子総額が増加、
しかも上昇するのは不動産価格のうち土地分ですから、
赤字となるようだと経費参入もできない。
更に、インフレが続けば金利はいつか上昇するもの。
金利が少し上がるだけで返済総額は急増します。
利回りが低い都市部収益不動産の経営者にとって、
現在の形のまま不動産価格の上昇することは僕には
デメリットの方が大きいようにしか思えません。
売却益は不動産投資では不安定なもの
4つ目、キャピタルゲインの不安定さ。
不動産価格の上昇により、キャピタルゲインが
得られる可能性は高まります。
ただ、ちょうど出口に差し掛かった頃に
タイミング良く不動産価格が理想的に
高くなっているかというと?
数年後の不動産価格なんて予想不可能です。
しかも、不動産投資の売買価格は交渉次第。
買う時は指値して安く買い、売る時は高くなんて
都合良くいくかどうか。
結局購入時に破格の条件で購入できるかどうかに
懸っていますが、ただでさえ安値で買いにくい
都市部の不動産を、不動産価格の上昇局面で
安く買うなんて不可能に近い。
キャピタルゲインに期待すること自体が間違いと言えます。
これら4点を考慮すると、この不安定な時期に
都市部の物件を融資を受けて購入することに
懐疑的にならざるを得ません。
資金力があるなら買って損はないと思いますが、
それ程の資金力があるなら悩んでいないことでしょう。
地方の不動産価格はどれほど下がる?
では、地方によっては地価の下落がまだ大きく
続いていることについてですが。
割合でみると、そうですね。
過疎地域の地価が下がるのは当然のこと。
実際、本当の「地方」では土地売りますという看板を
大量に見ることができ、哀愁が漂います。
将来、買い手が全く付かないことが予想される地域に
資産性を求めるのは論外ですから置いておいて。
将来的に売却を見据えた地方物件で、
今後も地価の下落が予想されるから危ない、
という考え、どう思いますか?
地方は、元々地価が安いんですよ。
僕の所有している地方物件、1,600m2もありますが
土地価格は5000万円以下。
路線価は3万円ほど。
仮に売却時に10%ほど地価が下がっていたとしても、500万円。
その物件は満室想定家賃が2000万円ほどですから、
10年の経過で考えると大した額ではないことが分かります。
今後はインフレによる貨幣価値の下落もあるでしょうから、
多少の下落はインフレで吸収されてしまうかもしれません。
ある意味、地価の変動のボラが大きい都市部の方が
売却価格に一喜一憂せねばならず、
不安要素が大きいと考えることもできます。
【都市部】【地方】とレッテル張りするのは危険
都市部は都市部で魅力があり、地方は地方で魅力があります。
どちらにメリットはあるし、どちらにもデメリットはある。
今回の話はあくまで、インフレや不動産価格の動向から
どういった戦略が考えられるかを考察したもので、
融資がつくのかだとか、地域的な特性だとかを無視しています。
むしろ、都市部を『都市部』、地方を『地方』という括りで
まとめること自体、実のところ間違っていて。
今回の話は投資戦略の全体像をぼんやりとしたイメージで
膨らませる程度の意味合いしかありません。
不動産投資家として活路を見出すためには、
狭い視野で可能性自体を小さくしてはいけない。
その上で、十分な収益が得られそうなら都市部への投資が
いいと思いますし、都市部で満足のいく利回りの物件が
見つからないなら、こだわり過ぎず地方に目を向けるべき。
これが今回のテーマの結論として、僕の意見です。
冒頭での考えて頂いた意見と、どう違いましたか?
異論、反論がありましたら、ぜひ教えて下さい。
多彩なご意見をお待ちしています。
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