日本経済復活の鍵は新たな価値の掘り起こしにあり

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消費税の増税が行われて丸一年以上が過ぎ、そろそろ今後の日本経済が
どうなるかを見極めなければいけない時期に入ってきました。

ここ1年間ずっと注目されてきた指標。「実質賃金」です。

 

実質賃金とは、名目賃金(貨幣額で表された賃金)に物価の変動を加味
して増減を評価したもの。

名目賃金が上がったとしても、物価の上昇率の方が高かったならば購入
できるものは少なくなりますから、それは貧しくなっているのではない
のか、という理屈。

ぶっちゃけた話、貨幣を刷りまくってインフレを起こせば名目賃金など
いくらでも上げられます。が、それがどれほど無意味なものかは誰しも
理解されているでしょう。

 

平成26年4月に、消費税が5%から8%へと増税されました。増税分だけ物価
が上昇した関係上、それから1年間は実質賃金が大幅に下落しています。

当然です。国が徴収する税を増やせば市中に出回るお金は減りますから、
私たちの取り分である賃金は下落します。

アベノミクスの概念の一つとして、金融緩和により市中に出回るお金を
日銀から供給させて金回りを良くしよう、というのがあります。消費税
の増税は、それと真っ向にぶつかってしまう悪手です。

 

金融緩和による賃金の上昇効果はインフレを伴います。消費税の増税に
加えて物価の上昇が起こり、しかし収入は名目賃金すら反映されるのに
数年を要しますので、ギャップが発生します。

それが、1年以上続いていた実質賃金の下落。

 

本当のところ、実質賃金が下落している理由はそれだけではありません。

原発事故や原油高による電気代の高騰といった要素もありますし、賃金
の高い団塊の世代が引退して雇用が安定した若手世代へと世代交代して
いるのも名目賃金が下がる理由です。

引退世代が非正規雇用として安い賃金で働くようになったのも同じく、
名目賃金が下がる要素。

名目賃金が下がれば実質賃金は当然下がりますので、実質賃金の下落が
必ずしも日本経済の行方を表しているとは言えません。

あくまで指標の一つに過ぎない。

 

ですが、複雑に考えすぎると結論が曖昧になってしまいますので、今回
はシンプルな議論をしていこうと思います。

とりわけ考えたいのは今後の景気動向について、及び私たちが取るべき
行動について、です。

飽和しているように思える中で価値を見つけなければ、日本は衰退します。

2015年4月以降の実質賃金動向はいかに

単純に考えると、2015年4月以降の実質賃金は上昇を始めるはずです。

2015年春闘以前から、名目賃金は微増しています。それに対し、物価は
日銀の思惑を外れ、消費税の増税分を除けば動いていません。原油価格
の下落が大きく影響しているようです。

そしてこれらの統計は、前年同期比と比べてどうか、を見ます。同条件
で比較するためです。

 

増税前と増税後を見比べた2014年においては、実質賃金は下がって当然
でした。

税率の変化がない同条件の2014年と2015年の比較こそ、アベノミクスの
結果が数字として表れるといっていいでしょう。

記事を書いている段階ではまだ4月の数字が出ていませんが、大手のベア
が相次いだ春闘の結果を考慮すると、物価の上昇が抑えられていること
からも期待できるのではないかと感じます。

指標というものは、実際に発表されるまでは分かりませんが……。
(追記:4月は僅かに上昇したようです)

 

アベノミクスがスタートして2年以上経過しています。賃金は遅行指数
であるとはいえ、そろそろ上がってこないと政治に興味のない層に落胆
の空気が流れ、また政治不安の種になりかねません。

再来年には消費税の10%への増税が控えています。タイムリミットは、
あと2年弱。

それまでには、景気の気が持ち上がっていなくてはならず。

 

今後1年間の実質賃金動向も、注目せざるを得ません。

 

新たな価値を生み出せるかがポイントに

先日発表された、2015年1月-3月期GDPは年率換算2.4%増と、まずまずの
結果となりました。

日銀の物価予測は目標と後退していますが、インフレターゲットは2%の
まま。基本的には成長率がインフレ率を上回れば経済成長をしていると
結論付けられますので、第一歩目はクリア、です。

GDPはまだ一次速報の段階で、今後下方修正される可能性もありますので
最近の速報値と確報値のずれを考えるに全く安心できませんけれども。

(現時点では年率換算3.9%と上方修正されました)

 

数も多く賃金も高い団塊の世代が退職を迎えつつも現金給与総額は増加
しているようですので、個人へのお金の供給もまずまず。

外国人観光客は相変わらず増え続け、輸出も拡大しており、外需も期待
できる環境であり。

これまでにない良い環境が構築されているように思えます。

 

後は、日本人、日本企業に「新たな価値」を生み出すことができるか。
日本経済が復活するかは、これに懸かっていると思います。

長引くデフレで、それでも物的に不満なく過ごせる日本。とても居心地
のよい、世界的にも格差の小さい国です。

が、その物的不満の無さが、経済活動を縮小させてしまっています。

 

景気の気は気分の気。経済は個人がお金を使わなければ回りません。

内需においても外需においても、個人にお金を使う気分にさせるような
価値を提供できなければ、経済は回らず景気は決して回復しない。

景気が回復するかどうかは、最終的には政府ではなく、国民に委ねられ
ているのは間違いありません。

 

不動産投資においても、生き残るには新たな価値を市場に提供していく
必要があります。

私たちにとって、他人事ではないんです。

一人ひとりの起こす小さなイノベーションが、日本の景気を良くします。
それは確実に私たちのところに還元されるもので。

そこが理解できれば、私たちが経営者として何をすべきか、すぐに気が
つくのではないでしょうか。

 

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