重くなる労働者の責任。企業に依存しすぎる人生には高いリスクの影が差す。

この記事は3分で読めます

いつも応援ありがとうございます。



 

2008年8月に首都高速で起きたタンクローリー横転炎上事故の裁判
が、まだ地裁レベルですが判決が下ったとの報道を読みました。

運転手と運送会社に約32億8900万円の支払いを命じたそうです。

 

首都高速は首都高速道路株式会社により運営されておりますので、
首都高速道路側からすれば運転手に過失があるのなら当然の判決で
あるのだと思います。

運送会社にとっても、雇用していた運転手が起こした事であるなら
(金額の多寡はともかく)受け入れざるを得ない賠償でしょう。

では運転手にとってはどうでしょうか。

 

判決が確定すれば、今度は運送会社と運転手の間で民事裁判が発生
するのだろうと思います。過失の割合について。

運転手に過失があったと裁判で認められているのであれば保険金も
どこまで下りるか不透明であり、運転手には支払い能力がほとんど
ない以上、賠償金の大半は運送会社が持つ事になるのでしょうが。

少なくとも運転手は職を失い、財産も手放す羽目になるだろうとは
予測されます。

これは恐ろしい話です。運転手の過失があって事故を起こした原因
が何であるかは分かりませんが、仕事上の事故の責任を個人にまで
問われる時代であるのが明確になってしまったのですから。

もしかしたら過密労働が原因にあるかもしれません。厳しいノルマ
があったかもしれません。それらのストレス因子は全く無くて個人
のミスや暴走だったかもしれません。

そこの判断は極めて難しく、今後は個人に対する責任がゼロである
とはならなくなっていくでしょう。

 

医療現場では昔からそうでしたが、最近は過誤のあるなし関係なく
その傾向が更に強まっているらしく。医師として働くには賠償保険
が欠かせません。

今後、雇用者と被雇用者の関係が変化していくとともに、労働者で
あるために保険が必須となる時代がくるかもしれず。

より高い意識を持っていなければ、人間らしい労働の対価を得る事
すら難しい時代へと突入する、というのも妄言とは言い切れないと
感じてしまいます。

個人の過失責任は重くなる一方のようです。

労働待遇も二極化へ?

世間の流れとしては明らかに「努力をして、更に結果を出している
人間は優遇されるべきで、努力もせず、不相応な報酬を得ている者
は排除されるべきだ」との方向が強まっているように感じます。

そう考える理由はよく理解できますが、個人的には所謂成果主義
呼ばれる傾向が強まり過ぎると悪い意味での格差が広がり過ぎると
思われ。

労働に対する思いや意欲は人それぞれ。もちろん結果を出せる人に
十分な対価が与えられる健全さは必要ですが、個々の事情に合わせ
最低限のラインを引いておくのも重要。

最低賃金は今後も徐々に上げる必要を感じますし、多少労働意欲や
能力が低くてもそれなりの報酬は得られる環境は維持されるべきだ
と考えます。

 

経営者視点から考えるとなかなかそうはいかないのですが、理想論
として、ですね。

実際にはどちらの方向性も難しいのが今の日本で、であるからこそ
個人は投資をして配当なり利益なりを上げるようにすることを推奨
しているのですが。

もしもこの先、金銭解雇が法整備され、雇用の流動性が強まると、
前述のような成果主義志向が急激に強まる可能性が高い。

 

すると、労働条件にも大きな格差が出てきます。ホワイトな仕事が
得られる人はよりホワイトに、ブラックな仕事しかできないならば
よりブラックに。

運転手など、本来であれば道路の速度制限がある以上は発揮できる
パフォーマンスは限られているにも関わらず、実現不可能な仕事量
を要求されるようになってしまうでしょう。

そうすれば、事故は更に増加します。もしくは提供されるサービス
が劣化されるしかない。労働条件の悪化で損害を受けるのは決して
労働者だけではない事を忘れてはならなりません。

デフレのままでは悪循環に陥るのは確実です。

 

僕としては金銭解雇制度は賛成の立場なのですが、深く考えるほど
問題点は多く浮かび上がってきて。

同時に必要な規制や企業の監視、柔軟な法改正が可能な環境作りを
実施しておかなければ、ますます悪い方向にしかいかないような気
がしています。

 

中央値と平均値は更に乖離する可能性

参院選が与党の勝利に終わり、これまでの方向性がより強まるのは
確定的で、これまでは進められなかったアベノミクスの重大な部分、
構造改革などが進む可能性は高いと思われます。

経済界や投資家はそれを望んでおりますので選挙で信任を得た以上
与党はそれに応えなければならない状況。

期待に応えられなければ株価や為替に大きな悪影響が出るのは必至、
年金の運用もままならなくなる。

もはや、私たちの労働環境が大きく変化するのは時間の問題です。

 

これから先、普通以上の生活をするなら、3つの道しかありません。

労働者としての価値を高め有利な条件で雇用を得られるような人間
となるか。

投資家として利益を上げ、労働に縛られずとも生活の糧が得られる
人間となるか。

いっそのことリスクを背負って雇用者側になるか。

 

実はこれら3つは、収入の3つの柱のそれぞれだったりします。柱を
一つ立てるだけでも大変な時代になるだろう、というのが僕の見解
です。

これまでのように、ただ普通の労働者であるのは自らの首を絞める
結果にしかなりません。時代は、大きく変化しています。

幸せが向こうからやってくる時代は、残念ながら日本ではとっくに
過ぎ去ってしまいました。

まだ数十年はお金を稼がなければいけない立場にあるのであれば、
よくよくお考え下さい。行動するなら少しでも早く、です。

 

宜しければブログランキングも応援クリックお願いします。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事

  1. 欧州経済の今後の動向には注目すべきです。
  2. 自衛隊への好感度は過去最高の92%だそうです。
  3. 世界経済危機がまた訪れるのでしょうか。
  4. リゾート開発がバブル崩壊でどうなったかは、日本人だったらご存知のはず。
  5. 賃金が上がるとなれば仕事のやる気もアップします。
  6. 日本中に空き家……いえ、廃墟が存在しています。
  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

このサイトについて

不動産投資を中心に、金融・経済、そしてビジネスについてコラムを書いています。

きりのきについて


人気ブログランキング参加中です。お楽しみ頂けたら応援お願い致します。



楽待不動産投資新聞様にて時々コラムを書かせて頂いております。

2014年4月不動産投資を始める際に最も重要なリスクヘッジの仕方。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る