情報収集と解釈のできる能力向上を身に着けよう。

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いつも応援ありがとうございます。



 

報道の読み取り方に関してのお話。

先日、麻生太郎副総理兼財務相が衆院財務金融委員会にて発言した
タバコと肺癌に関する話題がメディアで取りざたされています。

「肺癌(の患者数)は間違いなく増えた。たばこってそんなに関係
あんのって色んな人間に聞くんです」

メディアが切り取った発言は上記。

 

正直なところ、あまりにも部分的な切り取りですから麻生氏が何を
思ってこう発言したのか、どういった流れでこのような発言をする
に至ったかは分かりません。

一部を切り取って世論を動かそうとするのはメディアの常套手段で、
そういった意味であまり真面目に読んではいけない、が本当の僕の
意見なのですけれども。

ただ、それでは何も議論ができませんので、これを機に報道に対し
私たちがどう向き合っていくべきかを考えてみようと思います。

これは報道だけでなく、全ての伝聞において必要な考え方。広告を
見たり、説明を受けたりする際にも選択を間違えない為に必要で。

投資家、事業家となるのであれば、何よりも優先して身に着ける事
をお勧めします。

考え方の差を完全に埋めたりはできないものですが、より深く情報
を分析できるようになれば他人との間にある溝を少しは埋められる
ようになるはずです。

最近はタバコといっても色々とあるようですね。

解釈の間違いは事実誤認のもと

喫煙者が減っている中で、肺癌患者数は増えた。

この一文から何を感じるか。麻生氏の言葉を字面そのまま受け取る
ならば、喫煙は肺癌と本当に関係があるのか、と疑問を呈している
ように聞こえるでしょう。

実際に麻生氏の真意がどこにある発言かは分かりませんので麻生氏
が本当にタバコと肺癌の因果関係に否定的であるかは不明です。

ただ、インターネット上の意見を見る限りはそのように考えられて
いる方は決して少なくないのでは、と感じます。

 

僕は呼吸器の専門家ではありませんので、タバコと肺癌の関連性に
ついて議論をするつもりはありません。

喫煙に関しては肺癌関係なくできる限り止めた方が良いとの考えを
持っていますし、患者さんにはそう勧めさせて頂きますけれども。

肺癌以外にも喫煙には身体に悪影響を与える要素が山ほどあります
ので。COPD(慢性閉塞性肺疾患)など代表的な喫煙との因果関係
が明確な恐るべき病が存在する以上、禁煙を勧めざるを得ません。

 

肝心の「喫煙者は減っているのに肺癌は増えている」事実は、喫煙
と肺癌の因果関係を否定するものでしょうか?

答えは「ノー」です。喫煙者が減少しているにもかかわらず肺癌が
増えているという事実だけでは、喫煙と肺癌の因果関係の否定には
あまりに不十分。

全体の傾向を見るだけで個別の問題を議論するのは完全な詭弁です。

 

喫煙率、と検索しただけで厚生労働省のデータが見つかりました。
平成元年から今に至るまで、確かに大幅に喫煙率は低下しています。
喫煙率の低下と共に、喫煙者も減っている事でしょう。

しかしそれとは対照的に、肺癌死亡者数は激増しています。

喫煙を減らすだけでは不十分である、程度に過ぎません。

 

データから得られる結論のベクトルを間違えると、大変大きな誤解
をしてしまいます。

特にマクロのデータを読む場合はご注意下さい。これは全ての伝聞
における注意点です。大人気だからといって必ずしも自分に合った
商品とは限りません。

 

一つの情報から得られる結論は少ない

なぜ肺癌が増えるのか。様々な要素があります。

例えば少子高齢化。癌というのは高齢者に圧倒的に多い病気です。
高齢者人口が増えればそれと共に癌は増えて当然です。

癌の診断率が上昇したのもあるでしょう。医学は格段に進歩して、
以前は発見できなかった肺癌を見つけられるようになっています。

治療の効果が上がったのも背景にありそうです。肺癌を根治できず
とも、寿命が延伸されればそれだけ肺癌患者数は増えます。

 

死亡者数でいえば。

他の病気による死亡率が減っているのも理由でしょう。根治し易い
癌であるとか、生活習慣病由来の死亡、事故などの死者が減ると、
肺癌による死亡者数は上昇します。

死亡診断書の書き方に指導が入ったのも理由かもしれません。以前
は肺癌で死亡していても治療中に起こった心不全などが死亡診断書
に記載されるケースもかなりあったかと思います。

 

そして何より、肺癌を引き起こす原因が喫煙以外にも多く隠されて
いる可能性。一番にこれを疑うべきでしょう。

他に原因があるからといって喫煙と肺癌の因果関係を否定する理由
にはなりません。

より優先すべき存在はあるかもしれませんが、明確に悪影響の根拠
が示されている喫煙を抑制する政策を否定するには弱いのでは、と
僕は感じます。

尚、専門的には年齢調整をして検討すると、喫煙率の減少から肺癌
の死亡率は下がっている客観的データがある点を添えておきます。

 

多面的総合評価ができる能力育成を

と、このような感じです。

前述の内容には、専門的な知識は詰めておりません。死亡診断書の
話だけは医師以外にはなかなか分かりづらいところですが。

ちゃんと考えればそのような結論に辿り着くかと思います。

 

加えて、恣意的な情報を伝えようとする人間は、普通はそう考える
だろう、というところまで利用してきます。

例えばここでは「麻生太郎財務相はこのような考え方を持っている
非常識な人間です」とのメッセージを込めているかもしれません。
実際にそうである可能性も否定できませんけれども。

もしかしたら、たばこ業界が攻勢を強めてこのような記事を書かせ、
喫煙のイメージを変化させようと足掻いているのかもしれませんし、
報道の裏は分からず、難しい話ではありますが。

 

少なくとも一つ言える事は、一部が切り取られただけの情報で何か
を判断するのは止めた方がいいでしょう、という事。

どうしてもインパクトの強さから思考をコントロールされてしまう
事がありますが、大間違いを生み出しかねません。

多くのフィルターを持ち、一つの物事を多面的に評価できるような
能力を身につけましょう。投資家、事業家で生きていくには必須の
材料です。

 

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