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不動産投資とその他の事業に対する融資は、少し性質が違うもの
であるとの認識が必要なように考えています。
確かに不動産投資は事業であり、賃貸経営を経て利益を確保して
そこから融資返済を行いますから、その他の事業で受ける融資と
なんら違いはないはずなのですが。
事業の根本にあるものの違いが、不動産投資とその他の事業での
融資の性質の差に繋がっているように思います。
何が違うかというと、不動産投資の利益の根源には収益不動産の
存在が必要であって、物的な価値に縛られているという点です。
不動産投資以外の一般的な事業の場合、利益の根源は創出された
『価値』そのものです。物的には縛られません。
生産のために設備投資が必要であったりはしますが、物的な経費
と創出された価値の金額的評価額には相関はありません。
競争があるから価格競争により経費が経営を圧迫するだけであり、
本来は経費がいくらであろうが創出された価値の値付けは自由で、
市場がそれを許容すれば適切だと解釈されます。
化粧品なんか代表例ですね。原価の何万倍もの価格で売れている
商品はいくらでもあります。
そして、容量に制限のある収益不動産と違って、欲しい人がいて
生産ができるなら、いくらでも稼げます。
稼げる額に制限はありません。どれほどの価値を世に創出できる
かが全てです。既存のものを改良して価値を高めるのも、不動産
と比べて遥かに容易。
融資も、そういった物的に縛られない価値観が根本にあるため、
最大の優先事項は「月々の返済負担」になります。
最悪、元本が減らなくても最低限の価値創出が続けられれば経営
はずっと続けられる(現実はそんなに甘くありませんが、この場
ではそう仮定させて下さい)ので、返済負担は小さい方が嬉しい。
ですから融資期間は長ければ長い方が良い。商売がうまくいけば、
返したくなったら稼いだお金から返済してしまえばよい。
あまりに有利子負債が大きくなるのは僕の感覚だと怖いと思って
しまいますが、国内企業でもとんでもない額の有利子負債を抱え、
平然としている企業はたくさんあります。ソフトバンクとか。
それは結局、価値の創出、維持に自信があるからでしょう。また
固定負債である長期融資が多く返済負担が経営規模に比し小さい
からであると思います。
融資返済よりも人件費などの固定経費が問題ですね。その辺りは
個々の経営センス次第であり成功者と失敗者の二極化が発生する
理由でしょう。
一般的な事業においては融資期間は長ければ長い方が楽、です。
経営が傾き始めてから融資期間延長を申し込んでも断られるかも
しれませんので、初めからできる限り長くしてもらいましょう。
物的価値に縛られていませんので、融資残高が多くても経営さえ
踏ん張れば後から何とでもなります。破綻する時は残債がいくら
であろうが関係ありませんし。
減価に対する返済速度
収益不動産は、少なくとも日本国内のものにおいては年月を経る
ごとに老朽化し、確実に価値は落ちていくもの。故に、不動産に
対する融資はそれとともに確実に減らさなければいけない。
また、建物のキャパシティが収入の頂点です。上限は見えている。
民泊のような高利回りのサービスが時々発生しなくはないですが、
基本的には稼動後に付加価値をつけて収入を増やすのは困難で。
要するに、一つの物件(商品)に依存して継続的な利益を上げる、
当初予測より大きく繁盛させるのはほぼ不可能。
それ故、融資の返済は月々の返済額だけでなく元本返済の速度を
十分考慮しておかなければいけません。
不動産の価値が落ちているのに融資残高減少のペースがそれより
遅ければ、あっという間に債務超過になります。
建物の寿命が長いため比較的長期間の融資を受けられるのも特徴
ではありますが、融資期間を延ばせばキャッシュフローが増大を
するからと長くしすぎると、財務は経年悪化をしていきます。
十分な現金を残しておければ、前述のその他の事業と同じように
払いたくなったら払えばいいのですが、資金の増加速度には制限
が掛けられていますので、そう簡単な話ではありません。
つまり、不動産投資においては月々の返済負担だけでなく、元本
の返済速度も十分に考慮したうえで融資期間を決定しなければ。
時の経過だけで、稼ぎがなくなったり、債務超過に陥ったりする
リスクが存在する、という事です。
融資を受ける際のバランス感覚がとても重要ですね。
返済負担と元本返済のバランス取りを
こんな悩み現金があれば出てこないものなのですが、現金がない
からこそ不動産投資で資産を作ろうとしている訳で。
この辺りが、資産家のしている不動産投資とサラリーマンがする
不動産投資の大きな違いになります。
スタートからして厳しいのは致し方ないでしょう。持たざる者が
資産家と方を並べるにはリスクを取る以外にないのです。
その資産家だって、本人ないしは先祖の誰かがリスクを背負って
でも突き進んだ結果。子孫の繁栄のために頑張った結果が報われ
ないとしたら、それこそが不公平だと僕は思います。
結論として、不動産投資のための融資計画は、月々の返済負担と
元本返済のバランスを見て、ギリギリを攻める努力をしましょう、
ということになります。
僕は借り換えの際に、最初から融資期間を縮めてもらうつもりで
いました。金利が下がる分だけ月々の返済負担が軽減され、元本
返済に充てられる余裕が増える為、です。
そのせいで借り換えによるキャッシュフローの増加は抑制されて
しまったものの、融資残高の減少がとても早くなって、財務上は
年々良くなっていく形に設定できました。
1年経過しましたが、手持ちの資金にも何一つ不足はありません。
融資計画は、この二つの事項のバランスをしっかり検討した上で
決定するようにして下さい。
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