不動産投資におけるレバレッジの意味。債務償還能力引き下げの許容度を見極めること。

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投資にはレバレッジ(leverage)という概念があります。語源はてこの原理の
てこ(lever)からきていて、小さな力を大きな力へと変換するもの、転じて
自己資本に他資本の力を加えて投資規模を大きくすること、です。

株やFXで言えば信用取引ですし、不動産投資では融資、になります。

 

投資の稼ぎは、絶対的な稼ぎ感と相対的な稼ぎ感の二つが必要です。絶対的な
稼ぎ感とは金額としていくら稼いだか、相対的な稼ぎ感とは比率としていくら
稼いだか。

これを少なくとも片方満足させなければ、良い投資であると実感できません。

例えば同じ5%でも1日50円の稼ぎと1日5000円の稼ぎでは、稼ぐ為の労力は同じ
ですから前者ではやる気は生まれませんが、後者であれば稼いだ感が出ます。
(個人の金銭感覚により大きく異なります)

また利回り10%でも月に1万円しか稼げないのであれば物足りませんが、3%でも
月に300万円稼げれば満足いきますし、生活資金としては十分すぎます。

ですが、現物投資をするとなると上記の両者とも、満足いく投資をするために
後者の投資をするには、大金が必要です。巨額の余剰金がなければ、稼ぎ感を
満足させることができません。

それを満足させるための手段として、レバレッジが存在します。レバレッジを
掛けることで、絶対的にも相対的にも満足感を上げられ、目標達成を近づける
結果となる。

自己資金が少なくとも効率的な投資ができるようになる、という意味で極めて
有用な存在です。

てこの原理を利用したものは世の中たくさんあります。

リスクとリターンをインフレさせる存在

もちろん良い事ばかりではなく、ご存知の通りレバレッジを上げれば上げる程
リスクが上昇します。

FXにおけるレバレッジ規制、なんてものがかつて起こりました。レバレッジを
上げすぎて少しの変動で証拠金不足に陥り、多大な損失を被る人間が続出した
のが理由です。

業者のストップ狩りという行為の横行も原因かもしれませんが。

 

冒頭で挙げた通り、不動産投資におけるレバレッジは融資、です。不動産投資
では、株やFX以上にレバレッジを掛けての投資が一般化しています。

収益不動産から生まれる利益が価値の変動から来る収入、いわゆるキャピタル
ゲインよりもインカムゲインが中心だからであると思われます。

何年も掛けて元金を回収する融資ととても相性が良く、住宅の購入など、投資
以外でも活用されるものであり、不動産投資と親和性が高いのだと思われます。

 

しかし不動産投資においても、やはりレバレッジを高めすぎるのはリスク上昇
へ繋がります。

よく「融資が受けられるのは年収の何倍まで」といった話が出てきます。が、
収益不動産に対して金融機関が出す融資は、年収だけから資産されるものでは
ありません。

年収も合わせた『債務償還能力』が重要視されるんです。

 

金融機関は融資を決定する際に、必ず債務償還年数を算出します。もし融資を
出したとして最も短期間で返してもらうとしたら何年掛かるだろうか、という
シミュレーション。

一般的に債務償還年数が10年未満が正常、10年以上20年未満が要注意先、20年
以上は破綻懸念先、であるとされています。

以前は15年未満が正常だったらしいのですが、バブル崩壊云々で金融庁が基準
を厳しくしたようです。

これがあるため金融機関は債務償還年数が10年未満であれば喜んで融資をして
くれるのですが、それを超えてくる場合になかなか貸してくれない訳ですね。

 

結果として資金調達が難しくなり破綻する企業が増え、景気悪化に繋がったの
ですから皮肉なものですが。

 

債務償還能力を低下させる

不動産投資においてレバレッジを上昇させすぎるのが何故リスクに繋がるのか。

それは、サラリーマンが不動産投資をする場合において、前述したように年収
も含めて債務償還年数を算出するため、です。

 

本来不動産投資は事業ですから、債務償還能力は収益不動産の収益力だけ、を
見ればいいはずですが。

事業であったとしても、複数物件を所有していたりすれば当然そちらも加えて
考えるべきですよね。

サラリーマンの場合、給与収入も債務償還能力に加算されます。場合によって
家族や子供の収入まで加算されて算出されることもある(無収入であったら、
マイナス判定とされたりもしますが)。

すると、収益不動産そのものの収益性が不足していても、融資が出てしまう。
不動産は一般的な事業よりも債務償還年数が甘めに見られる傾向にあるようで、
より「無理な融資」を受けやすい地盤ができてしまってもいる。

 

とはいえ、最初の1棟くらいはまだいいと思います。当然そこまで計算に入れて
融資を出しているでしょうから。

これが複数棟となってくるとリスクが上昇傾向となります。投資規模が大きく
なって給与収入では足しにならなくなってしまう。

それでも融資が出てしまうことがある。金利を上げたり、担保を取ったりして
金融機関は自らのリスクを減らせるからです。

 

自らの値段を高く見積もりすぎないこと

不動産だけで十分な債務償還能力を持つ物件だけを購入できていれば、なんの
心配も無用ですが、属性を過信した投資をするのは危険です。

うまく回っている時はいいですが、少し調子が悪くなったら支えきれず倒れて
しまいかねない。

 

債務償還年数の計算は、金融機関それぞれ違います。また債務償還年数が多少
逸脱していても、何らかの理由をつけられれば融資は出てしまうもの。特に、
ここ最近はそういった傾向が強まっています。

自らの債務償還能力を考えずに規模を拡大すると借り換えすらもできなくなり。
最終的には高い金利を払い続けるか売却するかの二択を迫られてしまいます。

 

不動産投資で投資規模を拡大する場合は、一般的な事業と同じく、自らの債務
償還能力を把握し、物件購入を焦り過ぎない方がいいでしょう。

無理な設備投資で倒産をした企業など、いくらでもあるのですから。

 

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