不動産投資と税金【2】 減税や補助に目が曇るのはリスクがある

この記事は3分で読めます

いつも応援ありがとうございます。



 

前回の文末で書いたように、減税政策とは納税者のために行われる政策ではありません。

優遇したい事業者などへお金を誘導するために行われるものです。

これは本当に気をつけなければいけないことで。というのも、納税者のことは
二の次であるために「その後のツケ」に関しては何も救済をしてくれませんし、
どこかで減税した分を回収しようとも国は常に考えています。

 

例えば現在検討されている法人税の減税。実効税率を下げようと政府・国会で
議論が続いていますが、その目的は決して国内の既存法人のためではありません。
国外から企業の投資を推し進めるためです。

国内の法人に対しては、復興特別法人税の廃止を前倒しにしたことと、議論中の
法人税減税を理由に社員に対する給与所得の上昇を半ば強制しています。

更にはそのしわ寄せの矛先を個人に向けています。
具体的には給与所得控除の削減であるとか。

よく考えてみると、全体としてはほとんど減税なんてされていない事が分かります。
当然です。政府は財政再建を掲げており、税収を減らすようなことをするはずがない。

 

単に利益の渡る先を組み替えているだけです。

それでも日本が全体として良い方向に進んでくれればいいんです。
ただ、個別案件に関しては確実に利益を得る国民と不利益を被る
国民に分かれます。

そこを忘れてはいけないと僕は思っています。

そのうち風力発電も個人に開放されたりするんでしょうか。

減税政策のみで太陽光発電に飛びついていいものか

例として、太陽光発電の全量買取制度やそれに伴うグリーン減税制度
取り上げることとします。

これはどうみても太陽光発電の製造業者や金融機関、そしてスケールメリットを
得られる程のメガソーラー発電所を建設できるような大企業への利益誘導です。

弱い納税者のことなんてこれっぽっちも考えられていません。
どう考えても規模が大きい方が有利な仕組み。

国際的にも異常に高い買取価格や大規模事業者ほど有利なグリーン減税制度の
システムがそれを物語っています。

 

それでも、個人がこれを利用するメリットが無いわけではありません。

高額な買い取り価格のお陰で小規模事業でもそこそこの利回りで経営することが
できますし、グリーン減税制度は黒字額を大きく圧縮するために役に立ちます。

不動産投資家の中でも人気のある税金対策のひとつ。

 

しかし、流行っているからといって飛びつくのはかなり危なっかしい。

たとえ国が推進することでも、本当にメリットが大きいのか、それとも
隠されたデメリットがあるのか、よくよく検討をすべきです。

 

十分なスケールメリットが得られない個人が太陽光発電事業をするには、
導入コストにこだわらなければいけません。不動産投資をやっている方には
馴染みのあるものではありますね。

ただ、コストを考える際に大きな壁となるのが粗悪品の存在。

一部の中国企業のものであるとか、本当に信用できるのでしょうか?
カタログスペック上の発電効率は良くても耐久性が低かったりしませんか?

メンテナンスについても、中国の企業なんていつ潰れるか分かりません。
トラブルが起きた時、しっかりと対応してもらえるのかどうかは謎です。

 

かといって国内大手メーカー製にすると、十分な利回りを確保することが
できない可能性がある。

利回りの低さが致命的であることを知っている私たちは、高コスト体質の
国内メーカー製品を選びにくくなってしまっています。

太陽光発電を推し進めた割に、このあたりについては特に規制があるとは
聞いたことがありません。5年後、太陽光発電事業を行っている個人が
どうなっているか、やや心配です。

 

出口戦略についても疑問があります。20年経過して、廃棄することに
なった際の廃棄コストはどうなるのでしょうか。

ソーラーパネルは様々な化学物質を利用して作られたものです。
元々が大きなものですから相当な廃棄コストが掛かる上に、
化学物質の廃棄に追加で費用負担を要する可能性がある。

パネルに使われている化学物質に、どこかのタイミングで法的な規制が
入ってしまう可能性がないとも言えない。

 

また土地も困ったことになるかもしれません。売るに売れない土地は
固定資産税が掛かるだけの負債です。

購入にあたってはその後のこともよく考えておかなければ、
面倒なことになるかもしれません。

 

これらのことは大規模事業者ならばどれもこれもスケールメリットで十分に
補えることばかりです。ですが、個人レベルの小規模事業ではリスクを吸収
しきれない可能性があり、注意を払わなければいけません。

太陽光発電を利用した税金対策を行おうとするだけで、これほどの
考えなければいけないことがあります。

 

尚、太陽光発電事業に僕は今のところ参入する意志がありませんが、
それに関しての詳しいことはまた別の機会に書こうと思います。

今回は主題ではありませんので、ざっとした部分のみで。

 

減税制度の真意を推測する

利用するなと言っているのではありません。ちゃんとやれば十分な
メリットがあることは承知しています。

また、全てを計算してから買いなさいとまでは言いません。
個人レベルでは流石に現実的ではない。

 

しかし、減税と言われると舞い上がってしまってデメリットやリスクに
気が付かずに走り始めてしまいがちです。それはやめた方が無難でしょう。

まずは政府が何を考えてこの政策を打ち出したのか、十分に推測をする
ことから始めるといいと思います。

 

今後も似たようなことは繰り返されていきます。
直近では中古不動産の活用制度でしょうか。

何らかの減税制度や優遇政策が出る度、是非チェックをしてみて下さい。

そうする中で物事を考える力が身につきますし、政府の考えていることが
理解できるようになると、将来的に有利に経営が続けられます。

不動産投資と政治・経済は絶対に切り離すことができません。
興味を持って向き合っていきましょう。

 

宜しければブログランキングも応援クリックお願いします。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事

  1. 大魔王からは逃げられない
  2. Website Statistics
  3. 返済が遅延するなんてもってのほか。
  4. 経費で買えるからって、こんなにたくさん必要ですか?
  5. 自分でできる作業量には限界があります。
  6. 収入が多い方ほど法人化を考えるべきですが。
  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

このサイトについて

不動産投資を中心に、金融・経済、そしてビジネスについてコラムを書いています。

きりのきについて


人気ブログランキング参加中です。お楽しみ頂けたら応援お願い致します。



楽待不動産投資新聞様にて時々コラムを書かせて頂いております。

2014年4月不動産投資を始める際に最も重要なリスクヘッジの仕方。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る