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久しぶりに金融・経済について触れてみます。
黒田日銀総裁が再任されました。黒田バズーカで世界を震撼させ、
歴史的な円高を是正させた立役者が続投です。
未だ、当初からの公約である2%インフレターゲットを達成できて
おりませんが、あまり急な是正は経済の歪みを大きくし多くの不幸
を生みますので、個人的には今のペースで良いのではないかと。
色々と批判も見えますが、巨大なお金の絡んだ話であり、利益権益
の引っ張り合いが肯定意見にも否定意見にも見え隠れしますので、
自分がどっち側のグループにいるか、でしかありません。
こうした時に役に立つのが、誰がどのような「嘘」をついているか、
です。
例えば、4月9日付で朝日新聞デジタル版に配信された記事。
ヤフージャパンへのリンクですのでいずれ記事は消えてしまうとは
思いますけれども、注目すべき部分は以下の一節。
超低金利で金融機関の経営や年金運用が悪化する「副作用」も出て
いる。
金融緩和が継続されたことに対しての一節ですが、金融機関の経営
はともかくとして年金運用が本当に悪化しているかというと、事実
でしょうか。
以下の資料をご覧下さい。
GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の公式資料です。運用は
悪化しているでしょうか?
運用の仕方については賛否あるかもしれませんが、少なくとも年金
の運用が悪化する事実はありませんよね。朝日新聞が適当なことを
書いているのは明らかです。
お金が絡むと必ず「利益を得るもの」と「利益を失うもの」が出る
ため、それぞれの利益のためにぶつかり合います。
その結果として、このようなちょっとした嘘が忍ばされ、印象操作
を図ろうとする輩が多く現れます。どちらの陣営も本質は同じで、
どちらが悪いというものではありません。
けれど、嘘があるかどうかでどちらがより信頼できるか、それとも
両陣営ともに信用ならないのか、を選ぶ判断が可能です。
より正直な方が最終的に勝つのは間違いありませんし、そうあって
当然と思います。
一時的な利益になろうとも、嘘をつく陣営に交じってしまうと最後
に痛い目を見てしまいます。矜持を持って、正しいと思う道を選択
して下さい。
言葉面と極論に惑わされない
ただし金融や経済の話は非常に複雑で、どれが嘘でどこまでは見解
の相違か、を見極めるのが難しいです。
根拠を示されても、その根拠の「解釈」次第によって意見が真逆に
なってしまう場合があります。
例えば貿易の話。貿易黒字、貿易赤字という単語を聞いた事がある
と思います。
貿易赤字はその字面から「悪い事である」との印象を持っている方
は多いと思いますし、実際にそのような解説をする場も少なくない。
ですが、本当に貿易赤字は悪い事かというと、一概にそうと断言は
できません。
貿易黒字、貿易赤字とは単純に考えると輸出と輸入のバランスです。
貿易黒字は輸出超過、貿易赤字は輸入超過という意味で、どちらが
多いかの話にすぎません。
貿易収支が黒字であると、確かに国内に外貨が流入しているのです
けれども、あくまでバランスの話をしているだけで、輸出入の規模
はこの言葉からは分かりません。
また貿易黒字が大きくなると円高が進みます。外貨を得ても国内で
使うには円に両替しなければいけませんから円を買いますよね。
円高となったら貿易にどのような影響があるか。輸出は不利になり、
輸入はしやすくなります。輸出産業は貿易黒字を取り過ぎると先々
で不利になるんです。
自分で自分の首を絞めるのが良い事でしょうか?
と、貿易収支を例に挙げましたが、結局のところどちらがいいかは
一つの指標を見ただけでは決められません。
しかも上記はあくまで一部だけの内容で、実際にはもっと複雑。
かといって、それを全員に理解してもらうことはできません。興味
を持って貰うことすら難しいでしょう。
かくして、悪い人間はそれを利用し印象操作に走ります。自分たち
の利益になるなら、真実は二の次になってしまう。長期的に悪影響
が強くなっても知らん顔。
一つだけ言えるのは、極論に走る人間は信用ならない、です。
であれば、黒田バズーカ、異次元の金融緩和を実施した黒田総裁は
信用できないのではないか、と感じるかもしれませんが、そんな事
はありません。
黒田総裁は、行き過ぎた円安は是正しなければならないとの考えも
しっかり持っています。それは2015年に1ドル125円で口先介入を
して『黒田ライン』を引いたことからも明らか。
それ以降、公約は高く設定しつつも行き過ぎずじわじわと目標達成
を目指す姿勢を貫いています。他に適任者が見当たらない以上は、
日銀総裁の再任は適切でしょう。
公約違反が嘘に当たるとしたら、現野党の主要メンバーの方が糾弾
されるべきですから。
不安があるとしたら年齢ですね。今はいいですが、あと2年したら
75歳。市場のけん引力が維持できればいいのですけれども。
黒田総裁の再任と先だっての発言から、少なくとも当面は金融緩和
が維持されると思われます。低金利が維持されるとみられ、融資を
受ける側としてはありがたい環境です。
しかし次は分かりません。流石に3選は無いと思われ、その先の話
となると不透明。
次の5年できっちりと道筋を立てておきましょう。それが、長期に
金融業界で生き残るポイントとなるのではと感じています。
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