金融検査マニュアルの廃止は2019年3月末予定

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収益不動産への融資は一時期よりもだいぶ厳しくなって、市場も
少し様相が違ってきている面があるようです。

自己資金をしっかり入れなければ買いにくい物件が増える一方で、
不動産価格が大きく下落しているわけでもない。

これまでの投資家有利の投資環境で、相当数の個人や不動産業者
が資金力をつけ、優良物件を買い漁り始めている構図。

 

新規参入のハードルがこれまでよりも高まったのは確か。目立つ
行動は金融庁から睨まれる可能性が高く、多くの金融機関は評価
を厳しくしています。

何故、多くの金融機関が一律に同じような態度を取り始めたかと
言えば、ご存知と思いますが金融検査マニュアルの存在があった
ため。

金融機関の動きを一様に縛る、金融庁の作成する金融業界ルール
ブックです。そこから逸脱してしまうと厳しいお叱りを受ける上、
非常に厄介な仕事ができてしまう。

 

金融検査マニュアルは、バブル崩壊後の不良債権問題を解決する
ために作られ、その後も同じ轍を二度と踏まないようにと継続的
に運用されてきました。

今もその効力は発揮されているため、金融機関はそのマニュアル
に従った範囲でしか融資をできないのが実情。

収益不動産に対する融資が厳しくなっているのは、主に一部銀行
の不祥事から不動産融資が注目を強く浴びてしまっている中で、
金融検査マニュアルから逸脱するわけにいかないからです。

 

しかし、来年度になればまた状況は変わるかもしれません。

もうご存知の方はご存知かと思いますが、金融検査マニュアルは
2018年度末をもって廃止をする方向です。

理由は色々とあるのでしょうが、一言で言えば時代の変化へ対応
するためといったところでしょうか。

 

金融検査マニュアルが、バブルで歪んだ金融業界を是正するのに
役に立ったのは確かです。まだ成熟したとは言い難かった日本の
銀行を教育するツールとして。

ですが、時代は変わり、今では金融検査マニュアルが足枷となり
金融機関が思い切った踏み込みができなくなっています。

ようやく改善をする気になったのか、昨年12月、金融検査・監督
の考え方と進め方として、金融庁が新方針を打ち出しました。

 

果たして来年度以降どうなるのか。個人的には楽しみです。

これまではマニュアル通りの検査でしたが、これからは?

融資の姿は変わるか

金融検査マニュアルの廃止は、新たな事業を開始しようとする人
には朗報と言えます。

これまでは融資を受けるにも相当な根拠を要しましたし、何らか
の担保を要求されることが多かった。

特に担保は厳しかった。無担保で借りられる金額など雀の涙で、
事業をするといっても資金的制約が強い中でやるしかなかった。

担保を金融機関が強く要求していたのも、自行の安全のためとの
面もあるかもしれませんが、金融検査マニュアルから逸脱しない
ような言い訳作りでもあるのだと思います。

要するに、なかなか新規開業の融資を受けられないのは金融機関
だけの問題でなく、環境に難があった、と。

 

マニュアルが廃止されることで、金融機関にとっては融資を実行
する際の一つの縛りが解かれます。これまではお断りをしてきた
案件でもゴーサインを出しやすくなる。

独自の根拠が作れれば金融庁にうるさく言われず、より積極的な
融資ができるようになります。

親が子供の自由をある程度許し始めたようなものですね。

 

とはいっても、金融検査マニュアルが廃止されたからすぐに融資
が受けやすくなるとはならないでしょう。

散々、担保主義でやってきたところがほとんどです。急に方針を
転換してリスクのある投資ができるかと言えば、難しいでしょう。

特に方針を決める管理者側は、思考の柔軟性を失っている場合が
ほとんど。日本の、特に大企業にダイナミックな経営展開を期待
はできません。

 

また、金融検査マニュアルが廃止されたといっても、当面の間は
参考として扱われると思われます。かれこれ20年も扱われてきた
ものですし。

そして金融検査マニュアルが廃止されても、金融庁の監視の目が
なくなるのでもありません。融資の「根拠」に柔軟になれるだけ
で、根拠無く融資をしてくれはしない。

金融機関は安定していなければならない、との立場は変わらない
のですから。

 

それでも、大きな変化。

融資を受けたい側としては、担保を提供できなくても収益性など
を根拠に融資が受けられる可能性が高まります。

事業主の連帯保証も、今までよりも求められるケースが減るかも
しれません。

個人の連帯保証については金融庁の立場として既に経営者以外は
原則禁止になっていますが、事業主でもそうした方向性で。日本
政策金融公庫が個人に対しては既に保証人をつけない方針。

これが民間金融機関にまで拡大すれば、個人事業のチャレンジを
しやすくなって、色々な方向で経済は活発化するでしょう。

 

不動産投資家にも当然チャンスです。言うまでもない話ですね。

まだもう少し先の話ではありますが、融資を受けにくくなったと
言われる昨今、全体としてはこうした状況であるとは正確に認識
しておいた方が良いと思われます。

せっかくのチャンスを見失いかねませんから。

 

厳しい時期ではありますが、今はじっくりと構えて準備を進める
のが良いと考えます。

 

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    • mskiko
    • 2018年 9月25日

    不動産賃貸事業を営んでおります。
    昨今の融資状況の厳しさをしみじみ感じておりました。
    いままでは15000万新築RCにほぼフルローンもしくはオーバーローンで取り組めて
    おりましたが、今は同じ購入金額で3000万から5000万の自己資金んを要請されます。
    2019年3月には金融庁マニュアルが停止されるコラムは
    知りませんでした。これからの投資方針を決める重要な事実
    ありがとうございました。

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