長期金利がマイナスへ。不動産投資に与える影響は?

この記事は3分で読めます

いつも応援ありがとうございます。



 

円高の進行と長期金利の急落が進んでいます。

 

円高といっても1ドル70円台のような状況とは遠く離れた位置に
いますので、円高そのものはインパクトがありません。

円高になれば円建てで株安が進みますので、レバレッジを掛けて
投機をしている方にとってはボラが大きくて嬉しいやら、株価が
下がって悲しいやら、かもしれませんが。

日銀の金融緩和姿勢を見る限りはこの程度の円高で庶民の生活に
何か影響が出るような事はなさそうですので、推移を見守る程度
でよいと思います。

株価も下がったとはいっても15,000円代ですけど。もう少し下落
してもおかしくないと思っているのですが意外としぶといですね。

 

それよりも個人的には、長期金利(10年物国債の市場利回り)
マイナスへと足を踏み入れた事に注目をしたいところです。

金融や経済に興味の無い方には何のことやらと感じているだろう
と思いますが、実のところ私たちの生活に結構な影響を及ぼして
くるだろうと予測されています。

もちろん急に激変するような自体にはならないと思いますが。

一言で言えば、満額返ってこないのを承知で、それでも国にお金
を貸したいと多くの人(機関)が思っているという話。

先月導入された、日銀当座預金のマイナス金利の影響であるのは
間違いありません。

なぜ一方的に損をするような国債を買いたいと思うかについては
詳しくは省きます。ご興味のある方はGoogle先生にお尋ねを。

とりあえずこの場では、市場金利が下がると国債価格は上がる、
つまり国債利回り(長期金利)は下がるのだとご認識下さい。

長期金利動向は注目せざるを得ません。

長期金利下落の影響は

長期金利の低下が長引くと、様々な影響が出ると思われます。

 

一つは市中金利も更に下がる可能性です。

金融機関にとって金利とは利益を得る源泉。その金利が下がると
どうなるか。より多くのお金を貸し出さなければ金融機関の利益
が維持できなくなるのがポイント。

金融機関の利益構造は、手数料と金利収入の二本立てです。利益
が得られなければ、金融機関といえど民間企業ですので、経営が
成り立たなくなってしまう。

 

手数料の値上げは難しいところです。日本では全国展開している
金融機関が多すぎて、チキンレース状態。値上げしたところから
顧客の流出が起こるのは間違いありません。

となると、金融機関としては利益を確保するために、金利収入を
より多く得られるように動き出します。

 

しかし多くの金融機関が同じように考えますから、顧客を奪われ
ないように防御もしなくてはなりません。

その競争の際に金利の引き下げが発生します。これまで散々繰り
返されてきた金融機関同士の競争です。

これは以前も書いた通りのシナリオで、起こるべくして起こって
いくと考えています。今回の長期金利の低下はその途上段階、と
いったところでしょう。

 

金利を引き下げるだけでは、利益は増えるどころか減ってしまい
ます。そこで予測される二つ目の影響が、リスク資産への投資の
拡大です。

これまではリスクを恐れ融資が非常に出にくかった案件、不動産
でいうと法定耐用年数を超過した築古物件のようなものへと融資
が出やすくなっていくかもしれません。

それどころかそこでも金利合戦が起こる可能性があります。実に
不動産投資家や経営者にとってはありがたい環境です。

 

ただ、喜んでばかりではいられません。

長期金利の低下から金利の低下、金融機関のリスク抱え込みへと
至ると、私たちのリスクも高まります。

デフレの長期化、金融機関の業績悪化、それに伴う株安、そして
金融機関の倒産、恐慌への突入、というリスクです。

極端なところまではいくとは思いませんが、長期金利のマイナス
が長引けば何か事故が起きないとも限らないし、地味な不利益を
受ける可能性はあります。これが3つ目です。

 

予知しにくい未来

国内経済や政府の財政状況、政策などを考えると、民間金融機関
が倒産するようなところまで進むとは考えにくいです。

金融機関も、政府も日銀も落ちるのをただぼけっと眺めていたり
はしません。

 

現在進行形ですが、金融機関の再編は更に進むでしょう。規模の
拡大で破綻リスクを減らし競争力を高めるのは効果的な戦略です。

長期金利がマイナスとなると、政府の財政問題は一気に解決へと
近づきます。その分だけ市中へと流せるお金が増加しますので、
財政出動により景気の下支えは為されるでしょう。

日銀も更なる金融緩和の構えを崩さずにいます。円高進行により
デフレが長引くともなれば黒田バズーカ第3弾の引き金を引く良い
口実にもなり、マイナス金利を更に拡大することも可能です。

 

一つ難しいのは、この先が未知の領域であるという点。

長期金利のマイナス自体、スイスに次いで世界で2例目です。その
スイスとは財政状況も物価も経済構造も何もかもが違っています。

共通点は発行通貨が安全資産として不安が高まると買われやすい、
くらいでしょうか。

 

世界で例を見ない状況に、日和易い日本人気質で積極的な政策を
打つことができるのか、この一点に強い不安を感じます。

ですので、僕は政府に頼りません。現在の状況を自分で利用して
生き残りの道を探ろうと思います。

不動産投資家として、また経営者としては短期的には実に都合の
良い環境となりそうですからね。果たして短期プライムレート
下がるのでしょうか。下がって欲しいところです。

 

宜しければブログランキングも応援クリックお願いします。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る

関連記事

  1. 一部を見て全体を知るのは困難です。
  2. 日本中に空き家……いえ、廃墟が存在しています。
  3. 情報の仕入れ方が勝負を決める一因です。
  4. 色々言われていますが、銀座の地価上昇は数字になって表れています。
  5. 地銀に限らず、資本力増強のための合併は日本でも根付きました。
  6. 欧州経済の今後の動向には注目すべきです。
    • マッチ
    • 2016年 2月12日

    過去の恐慌や金融危機って必ず銀行の資産サイドが毀損して起こってきましたが、今回は貸出資産は健全で、日銀当座預金や国債など流動資金も豊富にあるので、銀行としては取付騒ぎが起きて預金が流出してくれればラッキーという状況ですね。そしたらリスキーな貸出努力をすることなくマイナス金利資産を減らせます。預金に見合った貸出を求められるからつらいわけで優良な貸出資産に見合った預金量に預金が減っていけば銀行としては嬉しいです。
    運用先のない資金が流出しても金融危機にはならないのではと思うのですが、何せ過去に例のない事態ですので不安が尽きませんが。

このサイトについて

不動産投資を中心に、金融・経済、そしてビジネスについてコラムを書いています。

きりのきについて


人気ブログランキング参加中です。お楽しみ頂けたら応援お願い致します。



楽待不動産投資新聞様にて時々コラムを書かせて頂いております。

2014年4月不動産投資を始める際に最も重要なリスクヘッジの仕方。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • LINEで送る