金融緩和の継続を市場は好感し株価上昇の見込み。リスクの評価はどうすべき?

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4月の日銀・金融政策決定会合において、現状の金融緩和を継続することが
賛成8人、反対1人の賛成多数で決定されました。

金融政策決定会合は日本の中央銀行である日銀の金融政策の運営に関する
事項を審議・決定する会合で、毎月1回~2回開催されています。

アベノミクスの一つの核となっている大規模金融緩和は、この会合で方針
が決められているわけです。

 

昨年10月31日の金融政策決定会合で追加緩和が決定した際は、5対4の僅差
であったために議論を呼びました。

日銀内でも金融緩和についての意見が分かれていることが露見したから、
です。

結果的には心配されていたような円の急落などは起きませんでしたので、
僅差の判定でも正解であったとのコンセンサスが得られ、金融緩和の維持
が8対1で決定されました。

 

金融政策の安定は相場の安定に寄与します。このまま大きな変動なく目標
が達成され、景気が回復に向かういいのですが。

 

市場に大きな影響を与える金融政策

金融政策の影響は莫大です。

アメリカは現在、3回に渡った金融緩和を終了した今、金利を引き上げよう
との動きが出ています。

FOMC(連邦公開市場委員会)が政策金利についてどう考えているかは非常
に注目をされていて、毎月のように「利上げ観測」が強まった、後退した
と話題になっては、米国市場の株価が激しく上下しています。

 

単純化すれば金融緩和とは市場にお金を流し、経済を活発化させること。
お金を供給すればその流動性が高まり、企業の業績は上昇します。

金融引き締めは市場のお金を減らし、バブルを防ぐこと。経済の流動性が
低下するため、企業の業績は下落します。

ごくシンプルに考えて、それだけで株価が大きく上がったり下がったり。
それほどまでに市場は金融政策に注目をしており、投資市場には特に影響
が大きいものなんですね。

 

ですので、今回の日銀の金融政策決定会合のように、金融緩和継続が満場
一致ではなかったものの大多数が賛成して終わると、安心です。

おかげで株価も再び上向き、2万円越えへ再チャレンジといった形。

実質経済が上向くのはもう少し先であるとしても、金融政策が安定して、
企業・個人の資金確保に不安が無くなることは景気改善の大前提。

日銀には市場経済をしっかり注視して頂き、景気回復の地盤固めを確実に
進めて欲しいものです。

日経平均株価はついに2万円へ。

日本の金融政策が抱える2つのリスク

しかし、まだまだ不安の種は尽きません。特に、以下の2つ。

 

一つはインフレ目標が達成困難な状況となっていること。

主たる原因は原油価格の下落です。エネルギー価格はあらゆる物価に影響
を及ぼします。

人口の増加がすぐには望めない以上、経済成長には物価の緩やかな上昇が
必須。それを現状、日銀は目標として2015年度内に消費者物価総合指数対
前年同月比1~3%を目標としています。

が、原油価格の下落により達成が難しくなっているのが現時点。

 

僕の考えとしては、原油価格の下落は日本経済にとって悪い影響はあまり
ありませんから、イレギュラー要素として受け入れ、目標未達となっても
いいのではないかと思っています。

そもそもインフレ目標2%が「ゆるやかな物価上昇」かどうかも、日本経済
を見渡す限り何とも言い難い感じもしますし。

 

ただ、何がリスクかといえば、インフレ目標を達成するがために、無茶な
追加緩和が更に実行されるような状況にならないか、ということ。

日本の公的組織の体質として、定めた数値目標は実際はどうあれ達成する
のが正義、と思っているような気が僕には感じられ。

目標未達成の責任追及を回避する為だけに、実を無視して数値目標の達成
に走るのではないか、との不安がある。

 

達成しなかったらしなかったでこれまた実を無視した批判が政治的な意図
で行われることは明らかで。

これまた今後の金融・経済政策に悪影響を与えてしまう。

日本の政治体質に関わる問題で、一番の不安要素です。

 

もう一つは、よく言われる長期金利の上昇。

日本の財政赤字が経済規模に比べて大きくなり過ぎているのは大分前より
言われている話。

経済活性化の為にはより多くの財政出動を必要としますので、更なる財政
赤字が予測されています。

これを、目標として基礎的財政収支(プライマリーバランス)を2015年に
赤字の対GDPを半減、2020年に黒字化、としています。

 

目標が達成されない場合、日本国債の安全性に懸念が生じ、長期金利上昇
の引き金となる可能性が否定できません。

2015年というと、もう今年です。税収は伸びていますが、実質経済の改善
はほど遠く、まだまだ財政出動が必要なタイミング。

景気を取れば国債の暴落、長期金利の上昇が危惧され、財政規律の引締め
を取れば景気の停滞、低迷へ再度突入するリスクを背負う。

この先、想像以上に厳しい綱渡りをしなければなりません。強い風が吹く
ようなことがなければいいのですが。

 

楽観視の時こそしっかり情報収集を

日本経済は上向いてくるだろうと僕は考えていますが、あくまで楽観視を
しているからに過ぎません。

僕ができる話はごく単純化した内容だけで細かい部分はまだまだ勉強不足
ですが、それでもこれだけ不安要素があります。

 

変化は突如として起こってもおかしくない。

日ごろより敏感なアンテナを張り、日銀の動向、政府の動向、国内経済、
及び国際情勢の情報収集、及び評価をする癖をつけて下さい。

願わくば、悪い変化は事前に察知して損失を避けられますように。

 

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