ホームインスペクションが日本の不動産市場を変える?

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ちょっと前の話題になりますが、11月2日の日経新聞に
こんな記事が掲載されました。

中古住宅を再生・再評価 500兆円の富が生まれる

著者の長嶋修さんといえば、ご存知ですよね。
健美家へ定期的にコラムを掲載されている、
ホームインスペクションの第一人者です。

 

記事の内容をものすごく簡素化して説明すると。

中古不動産に対する評価方法を米国基準にすれば
管理の行き届いた不動産は評価額が大幅に上がり、
巨額の価値を生み出すことができる、というもの。

 

確かにこの話には一理あります。

 

建物のリフレッシュがされなくなった日本

災害の多い日本では、大地震などが起こるたびに建物が
リセットされ、新たな建物が建設される、ということが
繰り返されてきました。

繰り返すごとに時代が進み、建築技術が進歩し、
頑丈な建物が建てられるようになってきました。

恐らくはその過程があったため、日本には新築神話が
生まれ、根付いたのでしょう。新しい建物の方が頑丈で
壊れにくく、安全であると。

 

法改正も進み、建築基準は厳しくなり続けた結果、
現存する多くの建物は少々の災害ではビクともしない
堅牢さを誇るようになりました。

流石に東日本大震災の巨大津波にはなす術がありませんでしたが、
地震だけであれば重大な被害を被った建物の方が少なかったのでは
ないでしょうか?

僕は震災当時、福島県郡山市に住んでいましたが、
震度6強の揺れが2分ほど続いたにも関わらず、
倒壊した建物は数える程でした。

 

見た、聞いた中で覚えているのは、総合病院が一つ半壊して
最終的に移転となったのと、カッパずしが傾いて廃業、
更地になってしまったkとくらいでしょうか。

僕の勤務していた病院も、古い方の建物の水道管が
やられて地下が水浸しになり、透析室が使用不能には
なりましたが、建物の基礎にダメージは無かったようです。

新しい方の建物に至っては地下深くまで基礎を掘ってあり、
震度7が来ても崩れることはないだろう、とのことで。
技術の進歩というのはすごいものですね。

 

建物が壊れなくなると、日本に根付いていた新築神話が
崩れ去る可能性があります。

堅牢性というメリットが失われたら、あとは建築のデザイン、
内装、省エネシステム程度しか差をつけられません。

しかも内装についてはリノベーションにより差がなくなり。
省エネシステムの金銭的メリットは物件価格で簡単に
ひっくり返ります。

 

中古不動産が良好な状態のまま残ることで、
どのようなことが起こりうるか。

新築物件への需要の大幅減です。新築と遜色のない中古が
圧倒的な低価格で提供されたら、新築よりも安い中古不動産を
選択する人がずっと増えます。

すると、新築マンションは値崩れを起こし、採算が合わなくなる。
それこそ、強烈なデフレ圧力にすらなりかねない。

新しい建物を建て続けることで成り立っていたこれまでの
不動産業に終焉の時がくるかもしれません。

古い家でも状態が良ければ高値で売れるかも?

ホームインスペクションは日本に根付くか?

極端なことが急に起こったりはしないでしょうが、こんな事態を
政府は恐れている部分があるのでは、と推測します。

そこで中古不動産への評価方法を変更し、管理の行き届いて
状態の良い中古不動産の評価額を高くしよう、と。

そうすることで新築の値崩れも防げるし、中古不動産も
管理が行き届いていたり元の作りがしっかりしているものは
資産価値が高くなる。

逆に手抜き工事だったり修繕がされていない中古不動産は
評価が下がるため、不良物件も少なくなる、と。

 

また中古不動産評価額が高くなることで固定資産税や
相続税などの税収増を期待、なんてところまで計算に
いれているかもしれません。

ホームインスペクションという産業の発展も期待でき、
雇用や経済の活発化の効果もありそうですね。

 

現時点で、実需層ですら中古不動産を購入する人が増えてきています。

引き渡しが遅れる新築不動産の消費税駆け込み需要は終わりましたが、
中古不動産なら実際に消費税増税がされる来年4月まで大丈夫ですし、
まだまだ売れ行きは伸びるのではないでしょうか。

 

実際にホームインスペクション業界が活発化し、中古不動産の
評価が変わるとすると、色々問題も起きそうですけどね。

業者とホームインスペクターの癒着であるとか、評価法の
不一致によるトラブルであるとか。医師の診察と同じで、
完璧で確実な診断が保証されることはないでしょう。

 

また、まだまだ根強い新築信仰もあります。

日本人の集団意識を大きく転換させるのは、
並大抵の努力ではできません。

金融業界の強い協力も必要ですし、ホームインスペクションが
日本に根付くには高い壁がある気がします。

 

不動産投資家としてはメリット、デメリットがそれぞれ
ありそうですが、もう少し具体性が出てきたらその時に
もう一度考察することとします。

 

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