連帯保証人制度は過去のもの? 進む金融制度改革【1】

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いつも応援ありがとうございます。



 

収益不動産に限ったことではありませんが、金融機関から融資を
受ける際には融資額に相応の要求をされます。

いわゆる担保です。

それは収益不動産そのものであったり、保証人であったり、
案件によって大きく違っています。

 

住宅ローンのような公的補助が付いているものは完全に形式が
定められており、条件を満たせば誰でも融資を受けられます。

逆に言うと、条件から外れるような融資はできないということ。

融資の主体である金融機関すら条件に柔軟性を持たせることができません。
国民の税金が使われているのですから、要件は非常に厳格です。

 

それと異なり、収益不動産に対する融資は自由度が高いのが特徴。

金融機関それぞれが独自の基準を持ってはいますが、そこを逸脱する
ような案件であっても金融機関側で条件をいじって実行することが
できたりします。

それがプロパーローンの特徴。

 

ちょっと余談を挟みます。

時にアパートローンといかにも違うものであるかのように表現されることも
ありますが、それは一部の金融機関がプロパーローンでなしに収益不動産へ
融資を実行しているからです。

この辺は僕もかつて混同しており、記事にもそれが反映されてしまっている
のですが、今一度整理しておきます。

アパートローンの名を冠していても金融機関によってその性質は大きく
違って、住宅ローンのように固定条件で融資をしているところもあれば
完全なプロパーローンである金融機関もあります。

 

話が逸れましたが、プロパーローンは前述のように金融機関との相談により
条件を自由にとまではいきませんが調整することができます。

よく使われるのは共同担保、そして連帯保証人です。

連帯保証人になったがために人生が狂ったなんて話はドラマの世界だけではありません。

連帯保証人が不要になる時代

今回話題に挙げるのは、連帯保証人について。

 

以前も書いたような気がしますが、2013年12月5日に金融庁より発表された
保証人制度のあり方についての通達が、2014年2月1日から適用されています。

「経営者保証に関するガイドライン」に基づいた「金融庁の総合的な監督指針」
及び「金融検査マニュアル」の改正です。

 

「主要行等向けの総合的な監督指針」及び「金融検査マニュアル」等の
一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について

(金融庁ウェブサイト)

内容をざっくりとまとめると、「金融機関は中小企業に出している融資に
保証人を付けることをなるべく止めなさいよ、経営が悪化しても保証人の
財産を全て差し押さえてはいけませんよ」ということ。

 

保証人になったがために個人が大きな負債を抱えてしまうことは以前から
問題になっていました。

経営に失敗したのだから仕方ないとの考え方もありますが、方向性としては
一度の会社の倒産で経営者が全てを失う現状が積極的な起業を妨げている、
だったらそこを改善しよう、とのことのようです。

プロパーローンをいわゆるノンリコースローンとすることを促進したい
金融庁は考えています。

 

これの関連で、連帯保証人についても大きく変化しています。

経営者保証すら無くそうとしているのだから、連帯保証人なんてなおさら
無くすべきだ、と。

 

顕著に現れているのが日本政策金融公庫のようです。

ゆめたか大家さんがブログにて貴重なお話を報告してくれましたので、
リンクを貼らせていただきます。

日本政策金融公庫に異変!(ゆめたか大家さんのブログ)

 

日本政策金融公庫はその名の通り政府系の金融機関。金融検査マニュアルは
全国の民間金融機関の規範となるべく守らなければいけないのでしょう。

日本政策金融公庫では今後、事業性融資に対して保証人、保証会社を付ける
ことはないようです。

 

融資姿勢が変化する可能性

記事では保証人や保証会社が付かなくなることにより貸し出しが厳しく
なるのではないか、と危惧しています。

これは以前メルマガで僕が書いた見解と同じですね。

 

金融庁としては、現在の金融機関がリスクを背負わずに責任を全て債務者に
押し付けている状態を問題視しています。

金融機関は「金を貸して欲しかったら誰かが保証しろや」といった姿勢を止め、
投資に失敗した責任を自分で取るようにしなさい、債務者を保護しなさい、と。

しかし当の債務者にとってはこれでお金を借りられなくなる方がよっぽど困る。

連帯保証人をつければ貸してもらえていたのが駄目になったら、どこから資金を
調達すればいいのさ、と。

 

政府は個人を守りたいのに、当の個人は保証人制度が無くなって資金調達に困る
なんてちぐはぐなことになってしまっています。

大きな制度改革が行われた際の特有な現象です。

 

政府は2013年6月に閣議決定した成長戦略「日本産業再興プラン」にて、
『開業率・廃業率10%台(現状4.5%)を目指す』としています。

廃業率も上昇させようと考えているようですから、保証人が付かないことで
お金が借りられなくなるような事業は廃業してしまえ、代わりに再チャレンジ
もしやすくしてやるから、と思っているのだと推測します。

要するに、こういうことです。保証人が付かなければ変えないような物件は
今後買ってはいけないのだ、と。

 

金融機関も貸さなければ稼ぎになりませんから、徐々に保証人なしに慣れて
融資適正判断が正確になれば、貸し渋りも無くなっていくでしょう。

しばらくは大変かもしれませんが、最近は不動産価格も高騰していて収益性が
落ちていますし、借りられる人がいなければ不動産は売れませんから徐々に
価格も適正化していくでしょう。

買えなくなってしまった人はしばらくの間無理せずに市場注視をすることを
メインとした方がいいのかもしれません。

 

もうちょっと書きたいことがあるので、次回へ続きます。

 

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