金利上昇リスクについて冷静に考えてみる【4】

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金利の話も終盤です。前回:金利上昇リスクについて冷静に考えてみる【3】

ここまで色々とごちゃごちゃ、順を追わずに話を展開させてきました。

 

最初にお話をしたのはしっかりとした物件を取得し、正しい不動産経営を
行っていれば金利の上昇など怖くないはずである、ということ。

それは自己資本比率を上昇させ、融資依存度を減らすことが第一でした。

当初は自己資金が不足して自己資本比率が極端に低くても、得られた収入
をきちんと資本へ回すことで万全な経営が作られていく、と。

 

自己資本比率が安全域まで到達する前、つまり経営が安定する前に金利の
上昇が始まってしまった場合どうするか。

給与収入から支出を何十年も続けて耐え続けるのは愚作、もしも経営困難
に陥ってしまったのであれば損切をしなさい。

金利が上がり始めたら次に下がるのがいつになるかは分かりません。来る
かも分からない日に希望を持つなら仕切り直しをするべきだ、との内容を
書きました。

 

3つ目にしてようやく「では金利が上がるとはどういうことか」と本質的
な話に入ることができましたね。

金利の上げ下げは急激な物価(貨幣価値)の変動の抑制が目的であり、
またお金の流動性を調節して景気の悪化やバブルの肥大化を防ぐために
行われている政策であることを解説しました。

あくまでざっくりとした大枠の内容で、偉い人々はもっと色々と考えて
いるのかもしれませんが、一般市民としてはまずはこの程度の認識だけ
で支障はないと思われます。

 

ここから、今後の金利の変動を予測するためには「物価」「景気」
注視する必要があることが分かります。

金融・経済のニュースをよく読まれる方は僕よりも詳しいと思われます
から読み飛ばして下さい。

上に行くのか下に行くのか……

物価の動向はどうか

「消費者物価指数(CPI)」という言葉をニュースで聞いたことがある
かと思います。

この消費者物価指数、読んで字の如く「物価」を表す指標です。

総合指数としてのCPI、コアCPI、コアコアCPIなどいくつか条件を変えた
指数がそれぞれ公表されています。

 

政府・日銀は、このような物価を表す指数を見て最終的にどのくらい
物価が上昇しているかを判断しています。

この物価上昇率の目標を黒田日銀総裁は「2%」に設定しています。
インフレターゲット、と呼ばれているものですね。

 

ここまで来れば簡単な話です。

あくまで金利は政策上のものですので、政策目標を達成したかどうか
が中心の判断軸になります。

つまりこの場合は物価上昇率が2%を達成したかどうかが重要である、と。

 

目標を達成することができなかった場合、もしくはできそうにない場合。
更なるデフレ抑制、物価押上げを目標に金融緩和を実施することになる。

それは前回と同じような量的緩和かもしれませんし、欧州中央銀行ECB
が実施したようなマイナス金利かもしれません。

少なくとも政策金利を上昇させることにはなりません。政策金利の上昇
がなければ、大幅な金利の上昇は考えにくいと思っていいでしょう。

 

金利が上がりそうになっても、政府・日銀がそれを押さえ込む動きを
取ると考えて間違いない。

何しろ政策を達成するのに非常に邪魔ですから。これまでのように、
金利が上昇しないように市場をコントロールし続けると思われます。

 

現在のところはというと、消費税増税時の便乗値上げもありインフレ率
は順調に目標に向かって進んでいます。

が、反動の消費低迷の影響が大きく騒がれており今後の見通しは不透明
といったところでしょうか。

 

金利を上げられるほどに景気は上がっている?

さてもう一つ、景気について。

これは皆さんお感じの通り、株価は随分と上昇し高止まりをしてはいる
ものの、実質景気については少なくとも4-6月期のGDP確報値を見る限り
「判断不能」です。

7-9月期の数字待ち、ですね。

 

ちなみに4-6月期のGDP速報値は-6.8%でしたが、確報値は-7.1%と下方
修正がされています。

政府は見通しを変えていないとは言うものの、中身を調べる限りでは
先は明るいとは口が裂けても言えません。

次の数字が発表されるまでは何ともコメントがしにくい状況ですが、
現時点で「景気がこのまま素直に良くなり続ける」とは思えず。

紆余曲折が今後も続くでしょう。

 

では金利にどのような影響があるか、というと。

すぐに金利を上昇させられるような好景気になるとは到底思えません。

 

何しろ金利が上昇すると景気にはブレーキが掛かります。借りる側に
とっては資金調達コストが上昇するのですから当たり前です。

返済に困り経営破綻を起こす企業も出てくるでしょう。

 

破綻をするのは何も企業だけではありません。変動金利で住宅ローン
を組んでいる個人も同じく、です。

金利が上がる以上に給与収入が上がっているなら健全ですが、そうで
ない状態、いわゆるスタグフレーションが起こってしまえば個人でも
債務不履行による破産申告が多発してしまいます。

そんな状況下で金利上昇を許せるはずがありません。政府・日銀は
何としてでも金利上昇を食い止めようとするはずです。

 

政府・日銀がコントロール不能な場合?

その時は日本国自体が破綻するでしょう。日本に住んでいる以上は
諦めるしかありません。不動産経営が破綻してもしなくても厳しい
日々が待っているはずです。

 

今後の政策・景気動向に注目

ということで、当面は大きな金利上昇はないであろう、が僕の答え。

ただし、当然ながら全く確証がありませんし僕自身も自分の答えを
心から信用できているのではありません。

時期についても不透明です。10年以内にどうか、との問いには全く
答えられません。

 

あくまで「雰囲気的にこんな感じかな」という程度。

ですから、僕は僕自身の勘(直感にあらず)を信用せずに金利上昇
への備えを進めていくことにしています。

固定金利か変動金利か、はどの程度の差が出てどの程度の期間で
組めるのか、によって答えが変わるでしょうね。

 

あとは市場や要人の発言を逐一チェックしつつ、できる限り素早く
正確な情報を得続けることです。

その上で今後の予測を修正していくのが正しい戦略でしょう。

金利上昇については、とりあえず以上となります。素人が語って
いますので間違いなどありましたらご容赦下さい。

ご自身で調べる癖を忘れずに。

 

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