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不動産投資において嫌なのは、早期退去です。
住宅が不足していた時代は礼金が存在し、法整備不十分のための敷引きなどが
行われ、また修繕を頑張らなくても入居希望者は山ほどいる状態でしたので、
入退去の回転が良いほど稼ぎが大きくなりました。
が、時代は変わって。現在の賃貸不動産事情においては、入退去の発生ペース
は遅ければ遅いほどよいのが実態。
入退去に多大なコストが掛かるため、一度入って下さった方にはなるべく長く
居て頂きたいというのがオーナーの切実な気持ちです。
融資返済の負担が少ない、もしくは全くない大家であれば、入居者をじっくり
選別し、面倒が少なく長い入居が望めそうな人だけを選んでいく事もできます。
が、私たちのようなサラリーマン不動産投資家は大きな融資を背負いビジネス
をしていますので、そこまで入居者の選り好みをしている余裕はありません。
精々、保証会社に蹴られるような人物を拒絶する程度が関の山。でき得る限り
満室にしておきたい、満室にしておかなければ先のリスクを縮小させられない
ために、属性とキャラクターが安心できるなら入居をさせてしまうもの。
そのため、どうしても時に早期退去をされてしまう事例が現れます。
入居者の出入りは自由ですので、致し方ありません。それを防ぐ方法は無く。
こちらとしては早期の入退去は起こりうるものと身構えておいた方が、利益を
失う機会を少しでも減らす策を練る猶予を得られるのではないでしょうか。
広告料アップの問題点
例えば僕が所有している2棟目ですが、入居率が良好な理由の一つは客付け業者
へと提示している広告料が他より高いためであると思われます。
広告料が高い分、紹介をしてもらえる機会が多くなるので入居可能性が高いと。
広告料を一ヶ月分多く払っても、それで一ヶ月以上早く入居をしてもらえれば
総合的にプラスになりますので、広告料を高く提示しています。
この戦略の弱点は、早期退去に弱い事。
広告料の回収は入居者さんからの家賃によって賄われます。二ヶ月の広告料を
支払って決まった入居者が一ヶ月で退去してしまったら、完全な赤字。
礼金を多く頂けていた時代であればそれでもプラスだったでしょう、そもそも
広告料なんてさほど必要なかったのかもしれません。
多額の広告料を払った分だけ長く入居をしていてもらわなければ、利益を手元
残せなくなってしまう。
単純に入居者が欲しくて堪らず広告料を引き上げてしまった大家さんが随分と
苦労をしている話を時々聞きますが、一様に早期退去に苦しめられてしまって
いますね。
広告料の上昇は、良好な入居率をもたらす強力な武器である反面、自らの利益
を削る可能性を含んだ諸刃の剣であるといえます。
地方に行けば行くほど、広告料は高くなる傾向にあります。僕の2棟目もそれに
漏れず、元々広告料が高めです。
それだけ賃貸住宅の需要が不足しているのでしょう。
そんなところで入居獲得のために無計画に広告料の引き上げをしてしまうのは
自らの首を絞める行為となりかねませんので、ご注意下さい。
早期退去のダメージを軽減する二つの工夫
高めの広告料が早期退去に弱い点に関しては当初より理解していたので。
管理会社さんの提案もあり、特別珍しい手段ではありませんが、二つの対策
で広告料の高さを吸収するようにしています。
ひとつは契約時から退去時にコストが掛かることも契約内容に含めるように
している部分。
敷金から自然的損耗分を原状回復の修繕費用として差し引くのは違法ですが、
退去時の清掃費を取るのは当初の契約に含めていれば正当なもの。
小額ですが、これは全員から必ず定額で頂くようにしています。
敷金はゼロ設定ですので、これまで全員に納得して頂いています。このおかげ
で入退去時の費用負担は少し抑制されています。
もう一つは、早期退去の違約金について、これも入居時契約に含めてしまって
います。
具体的には、入居後1年以内の退去に関しては1か月分の違約金を頂きます、と。
携帯電話の2年縛りより遥かに良心的でしょう。
これにより周辺のライバルよりも1か月分多く広告費を提示しても、早期退去の
ダメージを同程度に抑えられます。
2棟目の地方物件は、家賃に対して入退去費用がかなりかさんでしまっています
が、上記二つの対策によりある程度クッションを挟めていますね。
高い広告費を支払っていても利益が少ない印象はありません。
管理会社さんの考えや家賃設定、地域的な事情などにより同じ手段を取れるか、
は何ともいえませんし、同じようにうまくいくとも限りません。
このような契約にしたからといって早期退去が減っているような印象もあまり
ありませんし。
契約から引かれ気味にならないよう、金額的に微調整も必要になると思います。
あと、入居者さんに負担を強いる説明をしなければいけませんので、管理会社
さんや客付け業者さんの契約を取るテクニックに依存している面もあります。
悩みは絶えません。
とりあえず、こういう手段を取っている人間もいるよという一例程度に思って
頂けると幸いです。
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