消費税と軽減税率。その影響は複雑怪奇。

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ちょっと思ったのですが、消費税の軽減税率

飲食業界が軽減税率から外された事で飲食業界は冷遇をされて
いるかのようなコメントが業界から出ておりますが、はたして
本当にそうなのでしょうか。

報道ではあたかも大きなマイナスというような報道のされ方に
なっていますが、単純にそう言い切れないのでは、と思う部分
があるように思います。

 

消費税について勘違いをされている方が結構いらっしゃいます
ので先に簡単な解説をしておきますと。

消費税は消費者から受け取った消費税から、店側が仕入れ等に
支払った消費税を差し引いた額を納税するシステムです。

売り上げが少なくて預かった消費税が仕入れに支払った消費税
よりも少なかったら還付を受ける事になります。

不動産投資における消費税還付はこの隙間をついた手法であり、
国税庁が厳しい目を向ける部分ですが、それはまた別の話。

医療や住宅の貸付などは生命や生活に直結するとして、消費者
保護の目的で消費税非課税取引です。

提供側は仕入れ時に消費税を納税する必要がありますが消費者
からは消費税を受け取れないため、一方的に事業者が消費税を
負担している形です。

 

住宅の貸付の場合は価格に転嫁できればそれでいいのですが、
医療の場合は公定価格が定められているため価格転嫁ができず、
消費税が上がるたびに問題提起されています。

3%で消費税が導入された際は、傷病者の負担を抑制するために
医療サイドが引き受けますと非課税を進んで受け入れたとの話
ですが、最近は非課税を取り下げてくれとの声が出ていますね。

現時点で当時の3倍弱、10%となれば3倍以上の負担になるので、
流石に厳しいと思うのは致し方なく。まあ何とも難しい話です。

 

住宅賃貸も実際は消費税増税分をそう簡単に転嫁できるような
市況にありませんので、すごく厳しいです。

中小企業宛に消費税の増税分の価格転嫁状況調査がされていて、
大企業にいじめられていないかのチェックをしているようです
(うちの休眠法人にも届きました)けれども。

相手が消費者の場合、どうしようもなく。10%へと増税されて
果たしてどうなるか。税制上は、不動産投資は厳しい環境へと
追い詰められています。

 

ここまでは余談です。

軽減税率を広くやるくらいなら、増税しないほうがマシな気がしますが。

消費税が悪化させる資金繰り

冒頭の飲食業界の話ですが、これと逆の話。

医療や住宅賃貸では、受け取れる消費税が無い(少ない)ため、
消費税納税負担が重い点で厳しさがあります。

が、食料品に対する軽減税率が導入されると飲食業においては
まるで逆の環境。

消費税を預かる金額は多くなっても、仕入れ時に納める金額は
軽減された税額、予定では8%のままです。

消費税が還付される状況が減るという事ですが、つまりそれは
消費税の支払いに困る事が減るのと同義。

 

消費税のきついところは納税資金の資金繰りです。還付される
にしてもタイムラグがあるため、運転資金を圧迫します。

利益率が低く現金留保の少ない中小企業殺しの税制です。

 

軽減税率により消費者から預かる消費税が増えれば、納税資金
の負担は大幅に下落。資金繰りは相当楽になりそうです。

また現金留保に余裕があるのであれば、仕入れに掛かる消費税
が低く抑えられる分、価格引き下げの余裕が生まれます。

元から資金繰りには余裕のある全国チェーンの大企業にとって
は面倒事が増えて、システム対応や職員教育のコストが掛かる
ばかりではありますが。

中小にとっては、軽減税率から外食が外されたのは悪い事だけ
ではないように思えます。

 

もっとも、生鮮食品、加工食品の小売が軽減税率の対象である
以上、同じ飲食のライバルであるスーパー等との競争が激しく
なる事が予想されますので決して楽ではありません。

が、他の業界と比較して楽であるのは間違いなく。

生鮮食品だけでなく加工食品に対しての軽減税率導入を一歩も
譲らなかった公明党がどこの業界へと利益誘導をしようとして
いたか、何となく推察できるような気がします。

僕にはあまり関係のない話ですので利権争いはどうでもよいの
ですが、消費税増税の意義を見失わない程度にしてもらいたい
ものです。

そもそもが僕は8%への増税からして増税反対派ですけれども。

 

悩まずに済むようになるべし

今回の軽減税率によって、業績の変動があるかもしれませんね。
考えの通りに飲食業にメリットがあるなら、株式に価値の上昇
が期待されます。

正直なところ完全な予想は困難ですが、頭の体操として他にも
色々と想像を巡らせてみると良さそうです。

 

まあ、僕は医業、住宅賃貸と消費税を丸かぶりしているような
仕事ばかりをしていますので、軽減税率で悩むなんて羨ましい
としかいいようがないのですけれども(笑)。

早いところ、もう少し好況感が出て、プライマリーバランスが
黒字化し、健康に気を使おう、住宅にお金を使おう、と誰もが
思えるような日本になってもらいたいもの。

 

こんなお金の悩みが、いつまでもついて回ってきてしまうので、
「まともな事業」をやろう、との考えが薄まってしまうのです
よね。

病院の経営者もお金のことばかりで、現場の仕事のしやすさ、
安全管理、患者さんへの質の良い医療の提供なんて口だけです。

医業に限らず、どこの業界もそうではないでしょうか。僕には
それが健全とはどうしても思えず。

こうして、本業以外でお金を得て、本業でお金の悩みを抱えず
真に誠実なサービスを提供できるようになれれば、と日頃から
努力をしています。

仕事をしていて、相手の喜んだ顔を見た時ほど幸せな瞬間は、
他ではなかなか味わえませんからね。

 

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